ファヴェーラの丘



ファヴェーラの丘(FAVELA RISING)
監督:ジェフ・ジンバリスト マット・モチャリー 2005年 ブラジル/アメリカ


ファヴェーラというのはブラジルにあるスラム街のこと。本作では、リオデジャネイロのヴィガリオ・ジェラウという地区に住むストリート育ちのアンデルソン・サーが自身の過去を振り返り、語っていくドキュメンタリー映画。元麻薬密売人や、町の住民たちの話をもとに構成された作品となっている。

ある日、警察と麻薬組織の抗争により、虐殺事件が起きた。巻き込まれた関係のない住民たち。アンデルソンの弟もそのときに、何の罪もないのに、警察に殺された。
どうしたら、こんな争いがなくなるのか。どうしたら暴力が止められるのか。アンデルソンは考えた。
そんなとき、アンデルソンはジュニオールと出会う。ジュニオールはアフロレゲエというチームを結成した。彼らは破壊と変革の神シヴァを信仰し、自分たちの人生の支えとし、虐殺事件に対する報復以外の道を模索し、現実に向き合うよう社会に呼びかけた。
アンデルソンは虐殺のショックから立ち直れず、何もかもうまくいかない時に、ある曲を書いた。そこで、ひらめいた。暴力を止められる最大の武器は文化だということに。音楽と文化によって変革を起こせばいいと思いついたのだった。音楽なら誰の心にも届く。それが答えだった。

ファヴェーラの麻薬組織が儲かっているのに、ファヴェーラに裕福な人はいない。では、金はどこに行っているのかというと、警察に行っているのである。警察と麻薬組織は密接に関係し、武器販売にも警察は関わっている。警察の腐敗はファヴェーラの無秩序の最大の原因であるとジャーナリストは答える。  

暴力や麻薬組織に頼らない生き方をし、またファヴェーラで生まれる子どもたちの未来のためにも、変えていかなくてはいけない、そういった強い思いがアフロレゲエのみんなを突き動かし、ここまで活動できたんだと思った。
物語終盤になり、アンデルソンがサーフィン中に脊椎を損傷し、四肢が麻痺してしまう話が始まる。アフロレゲエの顔でもある彼が動けなくなるということで、アフロレゲエの解散も危ぶまれた。しかし、手術の前の夜、アンデルソンと彼の仲間はある老婆に病室で出会う。老婆はアンデルソンに向かって、自分は神の啓示を受けて、アンデルソンに会うようにと言われて来た、と。その神は海の動きを司る神で、あなたに勝利をもたらすでしょうと。誰にも想像もできない早いうちに...。

手術から4日後、シヴァの服を着て立ち上がり、歩き出すアンデルソン。彼は四肢麻痺を克服したのだ。
本当に彼らにはシヴァがついていてくれたんだなと思った瞬間だった。混沌の中から見事復活を遂げたのだった。

この映画は混沌としたファヴェーラの中から自らの力で立ち上がったアフロレゲエに集った仲間たちの復活と再生の物語である。彼らがシヴァを信仰するのも必然だと思った。彼らの後ろにはシヴァがついている。
生きていたら、いろいろなことが起こる。辛いこと楽しいこと、それらを受け入れ、自分たちでいかによくしていけるか、死なずに生きていける道を探すか、数々の困難を乗り越えてきたアフロレゲエは本当に輝いている。まぶしいくらいに。力と勇気をもらえる映画だった。前向きな気持ちで、毎日を生きていこうと思わせてくれる映画だった。

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