新桃太郎3/聖魔大戦(鳳凰王 Magic Warriors)
監督:リー・チュウナン ツォン・インチェン 1988年 台湾
冒頭からアニメっぽい雰囲気で『鳳凰王子』のテロップ。ここで、桃太郎とはもうかけ離れた、鳳凰王子の話になるんだなと察しがつくが、日本でシリーズ化しようと目論まれたのかどうかはわからないが、新桃太郎シリーズとして公開された。
昔、仙界と魔界はいつ果てるともわからない戦いを繰り返していた。あるとき、仙界に修羅士と武蔵という双子が生まれ、勇敢な戦士に成長した。二人は魔界を脅かすほどの存在になった。魔界の大魔王と戦うもとどめを刺すには至らず、怪我を負った兄弟は復讐を誓い姿をくらましてしまった。何年か経ち、弟の武蔵の噂が聞こえた。武蔵は仙界の掟を破り、魔界の姫、妖鬼姫(ようきひ)と結婚をし、金色童子という子供まで生まれたと。今、魔界と仙界の間は、兄弟が行方不明になった『崑崙(こんろん)の戦い』を最後に互いに干渉しあうことなく一見平和なように見えた。だが、武蔵と妖鬼姫の噂が聞こえるに及んで、魔界、仙界双方の動きはにわかに活発になってきた。殊に、妖鬼姫の兄の妖鬼魔王の怒りは凄まじかった。仙界、魔界の的が平和に暮らす武蔵一家に、今まさに絞られようとしていた。
人間界、桃太郎は川で釣りをしている。洗濯に来た女たちに、桃太郎は妖怪が出るという噂があるから、そこで洗濯するのはよした方がいいよ、と注意する。聞かない女たち。一人の女が足を滑らせ川に落ちる。妖怪よ!とはしゃぐ女たち。最初は嘘で言っていたのだが、本物の妖怪が後ろから襲いかかる。すぐさま助けに行く桃太郎。緑の半魚人みたいな妖怪と戦うも、普通の妖怪とはどこか違うと見抜いた桃太郎。その妖怪は妖鬼姫が化けたものだった。妖鬼姫を追いかけるも、逆に罠にかかり捕まってしまう桃太郎。それを見ていた、カタツムリの妖怪と赤鬼みたいな妖怪。ゴミ袋の妖怪。ハエに変身する妖怪。
妖鬼姫の隠れ家にわざと捕まって入ったと言う桃太郎。妖鬼姫に、なぜ女の人を何人も攫ったのかを問い詰めると、中から童子が出てきて、僕のせいなんだ、お母さんを殺すなら僕を殺して!と桃太郎に言う。父親の武蔵も登場し、桃太郎と戦うも、ここで桃太郎が、この夫婦のことに気づく。私には、仙界も魔界も関係ありません。お幸せそうですね、と微笑みかける桃太郎。私たちの結婚は誰にも許されてはいない。誰もここへは入って来てほしくない、という武蔵。事情を話す桃太郎。妖鬼姫が、童子の病気のことについて話す。なんでも妖鬼姫の魔術の不注意で童子の心臓に悪い気が入ってしまった。それで、生きた人間の気を借りて、それを治そうとしていたそうだ。桃太郎の法力で、童子の悪い気を治す。すっかり一家と打ち解けた桃太郎。三月後に会いに来ると約束して去る。
一方魔界では、大魔王が怪我で臥せっている。妖鬼魔王がリーダーとなり、大魔王の必殺技がもう少しで完成するという話をする。先ほどのカタツムリの妖怪たちは、魔界の妖怪たちで、妖鬼魔王にさっきの桃太郎たちのやりとりを報告する。妖鬼魔王はカタツムリに桃太郎を倒すように命令する。
桃太郎が会いに来る日が近くなると、妖鬼姫は鯉を遣わせて桃太郎に合図を送る。魔界では、妖鬼姫を連れ帰るために、武蔵一家の元へ訪れる。時を同じくして、仙界の仙人たちも、武蔵一家の元へ集う。仙界の仙人たちは、武蔵、童子を引き取れば、妖鬼姫には何もしないというが、妖鬼魔王は、武蔵には妖鬼姫を攫った罪があるため、わたすわけにはいかない、童子も含め三人とも魔界へ引き取ると、譲らない。どこへも行かない、と武蔵。
童子が妖鬼魔王に捕まったとき、桃太郎が登場。魔界陣、仙界陣、武蔵一家、桃太郎と入り乱れて戦うが、武蔵が傷を負ってしまう。武蔵は桃太郎に金色童子と地図を託し、この場所へ行けと伝える。武蔵と妖鬼姫は魔界へ連れていかれる。
魔界で処刑される武蔵。妻が何をした!私たちが何をした!と怒鳴る武蔵。血の池に落とされ一瞬で骨になる武蔵。泣き叫ぶ妻。
桃太郎はというと、地図の文字の解読ができず、悩んでいた。この文字は七宝水晶(漢字合ってるかわからん)がないと読めないらしい。わがままな童子のためにベビーカーを用意して乗せて進む桃太郎。いいやつすぎ。童子はわがままだが、金は持ってるみたい。偉そうな態度にちょっとイライラする。たまたま通りかかった娘の婿を決めるためのイベントに出くわし、食事をごちそうになる桃太郎と童子。しかし、そこでの酒に毒薬が入っており、桃太郎と童子は地下牢へ。桃太郎の顔はゴリラになり、童子の手も猿のものになっていた。ここの主人は魔界の手先だったのだ。主人を捕まえ、解毒薬を出させる桃太郎。一つしかないというので、童子に先に飲ませてやる。童子の手はみるみるもとの人間の手に戻る。そこへ、新たな刺客が。桃太郎はどんどん猿化しているので、言葉を話せない。刺客たちを追い返し、屋敷から出る桃太郎と童子。ほぼゴリラ化してしまった桃太郎。見せ物のようになってかわいそう。童子とその群衆をかきわけ道を進むと、この土地の守り神という老人に出会う。仙界に来いと言われ、戦いが始まるや、すぐに童子が手のひらを返したかのように、仙界の仙人たちに媚び出す。自分は本当は仙界に行きたかった。しかし、桃太郎があんな姿になってしまい、放っておくことができすに、いっしょにいたが、でも、もういいんです。あんな姿のやつといっしょに歩いていても変な目で見られるし、あいつは一生猿の世界で暮らせばいいんです、と桃太郎を見捨てる発言をする童子。暴れる桃太郎。これはちょっとかわいそうやろと思った。なんのためにこんな姿になってここまでやってるねん桃太郎は、と。
仙人たちは良い行いをすることが仕事。哀れに思った仙人たちは、仙術で桃太郎の姿をもとに戻す。童子に怒る桃太郎。しかし、実際は、童子は仙界に行く気は全くないらしく、先ほどの発言は全部嘘だった、と話す。桃太郎を助けるための狂言だったのだ。身代わりのぬいぐるみを置いて逃げる桃太郎と童子。夜、寝ているときに、毛虫の妖怪が桃太郎に近づくが、ベビーカーの仕掛けの爆弾でボカン。撃退。童子が酒を飲むとなんたら水晶のことがわかると聞いたと桃太郎にいう。
魔界では魔老婆に妖鬼姫を任せることにし、妖鬼姫の精神をのっとり、桃太郎たちの足取りを知る。
なんやかんやで、じゃれ合いながら旅をする桃太郎と童子。ついにさが村に到着。童子が酒を飲みたがるので少し飲ませると、大変なことに。困る桃太郎。酒の飲み過ぎで吐く童子。そこで童子の体内から水晶の鍵のような物が出てきた。オネエの店員に化けていた魔老婆が妖鬼魔王たちを呼び寄せる。別の小屋に避難していた桃太郎。魔老婆の正体を見抜いていた桃太郎は、罠を仕掛けていち早く避難していたのである。童子の体内から出た水晶は、レンズのようになっており、そこから文字を通してみると読める仕組みになっていた。桃太郎が文字を解読して、その文言を読み上げ、法術を使うと、そこに武蔵と妖鬼姫のホログラムのような姿が現れ、童子にメッセージを話し始めた。私たちに何かあったときはさが村の修羅士を訪ねなさい。かなり変わっているが、悪い人ではない、と。妖鬼姫はしちゅうほう(たぶん宝)の在り処を童子に伝えた。盗み聞きをしていた魔界の妖怪。
突然、腹痛を訴える童子。外に出てうんこするがまたもや仙人たちに捕まる。うんこを顔にかけて逃げる童子。ついに、修羅士の住処をみつけた桃太郎と童子。しちゅうほうを手に入れた桃太郎。変な石像みたいなんに襲われて、さらに妖鬼魔王にも襲われて、桃太郎が瀕死状態になる。自分で治そうと試みるが、血を吐いて倒れてしまう。一人で、助けを求めにきた童子。魔界の妖怪が現れ、水晶と妖鬼姫の交換を持ち出す。だまして、妖鬼姫を取り戻す童子。水晶は修羅士を呼び出す鍵だった。修羅士が井戸から飛び出て妖怪どもを蹴散らす。
桃太郎と妖鬼姫の手当てをする修羅士。桃太郎のことを助けてほしいと頼む童子。代わりに何をしてくれるのだという修羅士。桃太郎はともに大魔王と戦うという。そこで、妖鬼姫も意識を取り戻し、大魔王を追い込んだ兄弟剣はもう使えないことを修羅士に伝える。なぜなら、武蔵は血の池で殺されてしまった、と。口論になり、修羅士と妖鬼姫が戦いだす。止めに入る桃太郎。桃太郎は妖鬼魔王の武器の毒にやられていた。倒れる桃太郎。最初で最後のタダ働きだ!と言って桃太郎を助ける修羅士。川の流れに毒素を抜いてもらう法術を施す。
桃太郎と修羅士の留守中に妖鬼魔王の一団が妖鬼姫、童子に襲いかかる。妖鬼姫を連れ去る一団。桃太郎の刀を折る妖鬼魔王。童子は別の場所に避難していた。
桃太郎のことをた助けた修羅士。助けた桃太郎にしちゅうほうを持って逃げられ、怒る修羅士。桃太郎はわざと修羅士を怒らせるようなことをして、志を計っていた。修羅士の大魔王を倒すという強い志を見た桃太郎は態度を変え、志を感じたと失礼を詫び、尊敬の念を示す。今から、倒しに行きましょう!と意気込む桃太郎。もう手遅れだという修羅士。しかし、大魔王はいずれ、人々を苦しめる、いつかは倒さなければならない相手、それなら、こちらから乗り込んで倒してやりましょう!という桃太郎の強気な発言に、修羅士は桃太郎のことを気に入る。しちゅうほうを返すという桃太郎に、それはお前にあげようという修羅士。後で使い方も教えてくれるそう。
妖鬼姫が処刑されようとしている。途中で待ったをかける魔老婆。怒る妖鬼魔王。魔老婆は妖鬼姫を一生奴隷にさせる方法があると提案。提案を受け入れる妖鬼魔王。
その頃、武器の訓練をする桃太郎。修羅士は魔界の王、大魔王のことを話す。以前の戦いによって、大魔王は武蔵に左腕を切り落とされている。その戦いできせんがんでやられて以来、修羅士は古井戸に隠れ、修行を積んでいた。10年の時が経っているので、魔界の妖怪も変化しているかもしれない、と話す修羅士。そこへ、童子が帰ってくる。仙人たちは童子に散々な目に遭わされたので、もう仙界に童子がきてもらうことはかなわぬ、と言って去っていく。
準備をして、みんなのために大魔王を倒しに行くと、武器や鎧を作る桃太郎と修羅士。きせんがん対策として鳩を使う。きせんがんは人の体温を追うため。
魔宮の裏から攻め、魔宮の中心に出る抜け道を使って進む桃太郎一行。妖鬼姫を奴隷にするための法術が施されている様子を見て飛び出す童子。続いて戦いに挑む桃太郎と修羅士。妖鬼魔王をけっこうあっさり倒し(修羅士のとどめの蹴り一撃)、続いて出てきた大魔王のことも結構あっさり倒した。大魔王が負傷した左腕は飛び道具(腕)になっていたが、あまり役に立たず、必殺技もよくわからんかった。(顔が黄色くなって目が赤くなって唸る程度)
しちゅうほうが蝦蟇の形で大魔王を覆い、そこでダメージを受けている間に修羅士が開発した大魔王専用武器(杖の先についた顔のような物が飛ぶ→爆発)で倒した。倒れた大魔王の魂が石に宿り、その石がさらに爆発。桃太郎怪我してない?と駆け寄る童子。平気さ、と桃太郎。ほら、お母さんを探しに行くぞ、と修羅士。
うん(二人)。はっ!(で、全員ジャンプ、からのストップ。エンデイングへ)
今回も安定の空中ジャンプで一時停止の終わり方。これ見るとなんか安心するねんな。ああ、面白かった。というか、今回の吹き替えの桃太郎の声変わったなと思ってたら、林原めぐみでびっくりした。これは気付かんかった。あと妖鬼魔王が鈴置さん!青の仙人にこやっぴ、と気付かないところで声優も豪華だった。
真剣に、最初から最後まで見ましたが、これ3もかなり良作でした。好きでした。
もう桃太郎の話ではないですが、桃太郎が金色童子と一緒に童子の両親を助けるための旅に出るというところがいい。魔界にも仙界にも許してもらえず、隠れて生活をしていた武蔵一家に協力する桃太郎がやっぱりいい。私には、魔界、仙界関係ありません、のセリフがいい。助けを求める人がいるから助ける。それが正しいと思うから助ける。桃太郎のそういうとこも好きなんやろうなあ。
今回の桃太郎もきせんがんで瀕死に追い込まれるんやけど、自分的な萌えポイントではなかった。やはり、死ぬまで桃太郎が追い込まれると、萌えとか言ってられん、って思ってしまうんやろうな。桃太郎が途中でゴリラになるシーンはかわいそうだと思ったが、童子の良くも悪くもな機転に救われ、姿を戻してもらえたときはほっとした。生意気な童子もだんだん見ているとこういうやつなんやなと思えてくるし、桃太郎はつくづくいい人だなと思う。
結構ストーリーもしっかりしてて、最初から最後まで飽きずに見ることができた。1、2が桃太郎の鬼退治にこだわっていたというか制約があった分、今回はその制約を離れて、独自のストーリーになっていて(台湾の昔話かもしれないが)話がしっかりしていて面白かった。最後の大魔王、妖鬼魔王たちがあっさり倒されるのが拍子抜けなんやけど、もうその旅の道中で結構いろいろアクションもあって、お腹いっぱいなので、よしとする。魔界、仙界、桃太郎とすごいスケールがでかいんですが、中立の立場に立っていて、自分の正しいと思う行動をする桃太郎の言動に改めて桃太郎のことが好きになりました。3もかなりいいです。今まで2を一番たくさん見ていて好きだと思っていたのですが、3もいいです。全部いいです。1、2、3それぞれいいところがあって、愛着があります。本当にリン・シャオロウかわいいです。かっこいいです。大好きです。