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Showing posts from June, 2015

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トム・アット・ザ・ファーム

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トム・アット・ザ・ファーム(TOM A LA FERME) 監督 :グザヴィエ・ドラン  2013年  カナダ/フランス ミシェル・マルク・ブシャールの戯曲を映画化 ※ストーリーに触れています。ご注意を 主人公のトム(グザヴィエ・ドラン)は恋人のギョームの葬式の弔辞を読むために、彼の実家である田舎の農場に赴く。農場で悲しみに暮れるギョームの母。トムはそこで今まで知らなかったギョームの兄の存在を知らされる。兄フランシス(ピエール=イヴ・カルディナル)はトムにギョームの恋人であるということをバラすな、ギョームには、サラという女性の恋人がいるように演じろと脅迫する。フランシスの暴力と支配欲の強さにトムの気持ちにもだんだんと変化が現れる...。 見終わった後の感想は、むちゃくちゃ怖かった、である。本当に怖い映画でした。兄のフランシスがもうほんとむちゃくちゃ怖すぎて、なんなん?頭おかしいの?変態なん?こわっ、という思いがずっとフランシスを見ている間ありました。 冒頭寝込みを襲われるシーンも怖かったんですが、葬式の日にトイレの個室でトムの顔を何回か叩いてくるところの叩き方とかいちいちなんかイラっとする叩き方で、でも、それが狂気を含む怖さで、ヒエーッとなった。なんじゃこの人、危なすぎる、と見始めてすぐに思いました。そこからは、フランシスにトムが何をされるんだろう、と怖い怖いと思いながら話を追っていました。途中、逃げられるチャンスがあって、逃げようとするも、やっぱり逃げないとか、ストーリー上そうなるのはわかっていても、逃げろよ!と思わずにはいられませんでした。 暴力でねじ伏せられつつも、トムがフランシスに対して次第に、フランシスには自分が必要なんだ、と共依存の関係になっていったところに、ゾワッとなりました。 タンゴをフランシスとトムが踊るシーンも何だか狂気じみていて、なんやこれ、と思っていると後ろに人がいる…、と、ここでもハラハラしました。後ろにいたのは、母のアガットでした。あれ、母はフランシスの話を本当は全部聞いてたと思う。 以下疑問に思ったことと、私の考え ①フランシスはインセストでゲイ(バイ)じゃないか? 本当はフランシスはギョームのことが好きで、でも、そういうこと言い

キョンシー

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キョンシー(Rigor Mortis) 監督:ジュノ・マック  2013年  香港 あの『霊幻道士』のリブートとして作られた本作。キョンシー好きとしてむちゃくちゃ楽しみにしてました! 結果、すごくテンションぶち上がりつつも、ちょっとなんやな、という不満もありつつも、でも、愛すべきキョンシー作品になっていました。 過去に『霊幻道士』の役者をしていたチン・シュウホウは妻子と別れ、落ちぶれ、死に場所を探していた。廃墟のような大きな団地の一部屋を借りる。そこは幽霊が出る部屋だった...。 本作は『呪怨』の清水崇さんがプロデューサーとして入っていることもあり、和製ホラーとキョンシーがミックスされて、しかも、コメディ要素はほぼなしの、本格ホラーになっています。(※少しスプラッタもあり) キョンシーシリーズのちょっと笑かす感じが好きな方にはシリアスすぎかなと思われるかもしれませんが、私は、この雰囲気も結構好きでした。 全編にわたって、暗く硬質な色彩、黒、白、青白い光の色が印象的でした。あと、双子の女の子の幽霊が出てくるのですが、『シャイニング』のオマージュがされていました。ただ、ちょっと、あの和製ホラーによくある蜘蛛みたいな不自然な動きをするので、それが私はあんまり好きじゃないので、そこは少し萎えました。 最初のシーンから、タディガンフォン、タディガンフォン、フォーチフォーチシシファッコンの霊幻道士のあの曲がかかって、おおおおっ~!と唸りました。あと、ラム・チェンイン先生とモンチョイが写った写真が出てきてウッ(涙)となったりと霊幻ファンにはたまらない演出の数々。なんせ、霊幻シリーズの俳優さんたちがかなりたくさん出ておられるので、それだけでも嬉しいんですが、映画の中にある細かい霊幻シリーズに関する小ネタに愛を感じました。 本作のキョンシーは私が好きな霊幻3のミン道士(半人前道士)の方(リチャード・ン)が演じられていて、わわわわわわ!と驚きと嬉しさが溢れました。 本作はキョンシーのビジュアルがすごくかっこよかったのが印象的でした。いつもの派手な服ではなく、黒い服で帽子もなかったのですが、キョンシーが飛びながら横からのショットで長い黒服がなびいているところ、むちゃくちゃかっこよかったです。あと、片目がつぶれて縫っ

羊たちの沈黙

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羊たちの沈黙(The Silence of the Lambs) 監督:ジョナサン・デミ  1990年  アメリカ 原作:トマス・ハリス 名作。また見返したい1本。 ハンニバル・レクター博士の物語はここから始まった。 時系列的には『ハンニバル・ライジング』、『レッド・ドラゴン』、『羊たちの沈黙』、『ハンニバル』の順番です。 連続殺人犯の精神科医のハンニバル・レクターは刑務所に収監されている。FBI訓練生のクラリスはレクター博士と話すことで、今現在追っている連続殺人事件の解決の手がかりを得ようとする。レクター博士はクラリスにクラリス自身の話をすることを条件に、助言をする。事件は解決できるのか。レクター博士とはどんな人物なのか。二人の対話の静謐さと事件の残虐さなど、静と動と狂気の入り混じった作品です。レクター博士とクラリスの対話の間に広がる緊張感、狂気にゾクゾクします。 レクター博士の狂気っぷりというか変態っぷりというか、狂ってるのに、なんかかっこいいな、と思ってしまうあれなんなんでしょう?歴史に残る映画の悪役だと思います。アンソニー・ホプキンスのレクター博士の怪演は見るものを惹きつけます。 あと、それと本作ではクラリスのジョディー・フォスターも素晴らしいです。二人の間に流れる空気がなんとも言えない独特な感じで、ハンニバルといえば、これよなあという空気を私は感じます。 ハンニバルシリーズのジャケットでは、この『羊たちの沈黙』のジャケットが一番好きです。なんかミステリアスでそそられる。 あと、一つ思ったのは、レクター博士といえば、カニバリズムやん?で、カニバリズムって、あんな感じに襲いかかってガブガブっみたいなあんな勢いあるもんなん?と驚いた記憶があります。 なんか、もっとこう、殺してからゆっくりと、という勝手なイメージがあったもんで、襲うついでに齧る、あわよくば食べる、みたいな展開に、激しいな~と思った。 (※『ハンニバル』ではじっくり調理しておられました。) レクター博士とクラリスの鬼気迫る心理戦の描かれ方が見事です。 ほな

僕らのミライへ逆回転

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僕らのミライへ逆回転(BE KIND REWIND) 監督:ミシェル・ゴンドリー  2008年  アメリカ アメリカ、ニュージャージー州のパセーイクという町の一件のレンタルビデオ屋の話。店名は“BE KIND REWIND”(次の方のためにも巻き戻して返却してね) 市から新しい建物を建てるために、古いこの店は立ち退きを迫られます。立ち退かないためには、屋根を直す多額の費用が必要。しかし、現代はDVDが主流でアクションやコメディなどわかりやすいド派手な大作映画ばかりがレンタルされている。店長のフィッシャー(ダニー・グローヴァー)は頭を抱えてしまいます。 フィッシャーは打開策を考えるべく、ライバル店へ視察へ。店を空ける間マイク(モス・デフ)に店を任せる。ところが、マイクの友達のジェリー(ジャック・ブラック)がなんやかんやあって電磁波を帯びた体で店内に入ると、その影響でビデオの内容がすべて消えてしまった。お客さんが借りにきたが、ビデオの中身がない。マイクは客が見たい映画をリメイクすることを思いつく。マイクとジェリーは、ビデオカメラを片手に手作りの“スウェード”(マイクたちのいうスウェーデン製)の映画を撮っていくのだった...。 すごく面白い作品でした。最初、コメディとして楽しむために見ていたのですが、マイクとジェリーが始めたチープな映画作りが、だんだん、パセーイクの町全体(子どもから大人まで)を巻き込んだ一大プロジェクトとして映画が作られていくことに、いつしか町の人と同じ気持ちで映画にのめり込んで見ていました。 メイキング映像を見てみると、実際にパセーイクに住む住民たちが映画に出演していたそうで、驚きと、映画の力を感じてすごいなと思いました。映画に出演しているパセーイクの人々はみんな生き生きしていて、輝いていました。監督は町も物語の一部にしたかったと言っており、実際にそうなった映画なのだけれど、住民と俳優と監督とスタッフと一丸となってこのパセーイクの町の映画を撮ったっていうのが本当にすごいことだと思いました。 そして、映画の中で劇中劇として描かれるパセーイクで生まれたという伝説があるファッツ・ウォーラーという1920年~30年代に活躍したジャズ・ピアニストの存在もとても大きいものだと感じました。 映画を

この子の七つのお祝いに

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この子の七つのお祝いに 監督:増村保造  1982年  日本 子どもの頃に見たトラウマ映画挙げろって言われたら迷わずコレ! ※ストーリーに触れていますので、何も知らずに見たい方はご注意ください。 当時、テレビで夜に本作がやっていて、なんとはなしにテレビがついてて、耳につく「通りゃんせ」の曲から何となく嫌~な雰囲気を感じ取っていたものの、ちらっと見てしまって、すごくすごく後悔した作品です。 内容は世代を越えた復讐劇。 昭和25年頃、真弓(岸田今日子)と麻矢の親子はアパートで二人暮らし。母親の真弓は事あるごとに、「私たちがこんなに貧しいのはお父さんが私たちを捨てたからなんだよ」「だから、あなたがお父さんに復讐してね」と娘を復讐鬼にするべく幼少期から洗脳していきます。 時が経って、ある日殺人事件が起こります。事件を追うフリーの記者の母田とその後輩記者の須藤が追いかける事件の真相とは… 子どもの頃トラウマになったシーンは以下の2つ ・真弓が嫌がる娘の顔に焼けた火箸を押し付け、「私の心の痛みはあなたにはわからないでしょうけど、この火傷の痕を見る度にお父さんへの恨みを思い出すでしょう」っていうシーン このシーン、こんなことする母親がいるの、っていう衝撃で震えまくった。火傷って、一生治らへんやん、むっちゃ嫌やん、てびっくりした思い出。 ・娘の麻矢が七歳になる誕生日によそ行きの振袖を着せて寝かせ、朝起きると横で寝ている真弓の様子がおかしい、麻矢が布団をめくってみると、頚動脈と手首を切って血まみれで自殺している真弓がバーン!!ていうシーン 怖すぎやろ。このシーンが目に焼き付いて、怖すぎて、リビングの扉を閉めて自室に逃げ込んだ後も、その映像は頭に焼きつき、なんであんな怖いシーン見たんや!と数年後悔しました。映像がもたらす有無を言わさない衝撃(視覚から入る直接的なショック)を身をもって感じた瞬間でした。 子どもの頃はホラーだと思ってたんですが、トラウマを克服すべく大人になってから見返してみたら、怖いのはもちろん怖いんやけど、怖いよりも、すごく悲しい救われない話で、こんな話やったんや、としんみりしました。 結局かわいそうなのは子どもなんやなと。麻矢は真弓の思惑通

孤独な天使たち

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孤独な天使たち(IO E TE) 監督:ベルナルド・ベルトルッチ  2012年  イタリア 14歳の少年ロレンツォは過保護気味の母親にうんざりしつつ、学校のスキーウィークに行くのも嫌で、一週間分の食料を買い込み、地下室に籠る。埃まみれの地下室だが、冷蔵庫やトイレやベッドなど生活に必要なものは一通りあり、アリの巣をペットショップで買い、アリを眺めつつ、読書したりパソコンしたり、悠々自適の生活を満喫していた。 そんな生活の二日目に、異母姉のオリヴィア(ジャンキー)が突然やってきて、振り回されつつ、共同生活が始まる。 オリヴィアの登場シーンが結構好きです。最初誰やねん、と思ってたんですが、黒いニット帽を外すと金髪の長髪がふわっと溢れ出る感じに息を飲んだ。あと、食べ物を二人で自宅に忍び込んで調達しにいくところなど、ドキドキするんやけど、冒険してるみたいなワクワク感があって、楽しそうやなと思いました。 一番よかったシーンは“Space Oddity”の曲に合わせて二人がダンスするシーンでした。字幕で出ていた歌詞は、もともとの歌詞と違って、この二人を表している歌詞でそれもよかった。二人がお互いに約束を交わし、そして朝を迎えるところがすごくよかったです。それぞれに孤独を抱えたもの同士、そして、姉弟という絆もあって打ち解けた二人はまた現実に目を向け、また外の世界へ歩んで行こうという気持ちになる。その気持ちが見ている私にも伝わってきて、自分も頑張らななあという気持ちになった。生きてたらいろんなことがあるけど、隠れないで自分は自分を貫いて行こうと思いました。 ほなね

スクール・オブ・ロック

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スクール・オブ・ロック(THE SCHOOL OF ROCK) 監督:リチャード・リンクレイター  2003年  アメリカ ジャック・ブラック演じるデューイが友人になりすまして私立の学校の代用教員として潜り込み、子供たちにロックを教え、バンド・バトルに出場するまでの話。 ロックが大好きなデューイだが、友人の家に居候しており、家賃を滞納しすぎて追い出されそうになる。金を工面するためにバンド・バトルで賞金を稼ごうと思いついたが、デューイの態度が原因でバンドをクビになってしまう。そんなデューイが目をつけたのが友人への依頼できた名門学校の代用教員の仕事だった。 また見返したい1本。 ジャック・ブラックがいいと聞いていたので、軽い気持ちで見てみたらむちゃくちゃ面白かった作品です。とにかく、ジャック・ブラックがおもろい!に尽きます。こんなこと許されるんかよ、っていうことも多々ありますが、子供たちがデューイと関わることで、自分の個性や好きなこと得意なことを見つけていき、まとまっていく感じがすごく気持ちいいです。最後のバンド・バトルはすごく感動しました。終始ドタバタコメディという感じなのですが、ここまでおもろかった~となる映画は私の中であまりないのですごく印象に残っています。また見たい作品です。 ほな

ブラック・スネーク・モーン

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ブラック・スネーク・モーン(BLACK SNAKE MOAN) 監督:クレイグ・ブリュワー  2006年  アメリカ サミュエル・L・ジャクソンが道端で失神していたニンフォマニアのクリスティーナ・リッチを拾って連れて帰り、鎖に繋いで荒療治をする話。 ジャケットからSM監禁物かなと思ったんですが、最終的に感動のヒューマンドラマでした。レイ(クリスティーナ・リッチ)は幼少期のトラウマからニンフォマニアになってしまい、セックスがしたくてたまらなくて、色んな男とセックスしまくっているんですが、ラザラス(サミュエル・L・ジャクソン)がそんなレイのことを不憫に思い、少々手荒だが治してやろうと奮闘します。ラザラスはブルースの歌手で、ブルースによってクリスティーナの心も癒えていきます。一番盛り上がるライブのシーンでのマザフアッカはやはりよかったです。 タイトルの“ブラック・スネーク・モーン”とは、“黒い蛇のうめき”のこと。ラザラスの心の中にあるどうしようもない叫びをそう表現したみたいです。歌の歌詞として登場します。 レイには恋人のロニー(ジャスティン・ティンバーレイク)がいるんですが、このロニーも問題を抱えていて、軍隊に入ったはいいが、拳銃が撃てなくて早々に除隊されて帰って来ます。そんなロニーのことを助けてあげられるのは、レイだけで、二人はお互いに弱い部分がありつつも一緒に生きていこうとします。 それをラザラスは応援しつつ、見守ります。ラザラス自身、妻を弟に寝取られ、一人身になり孤独な暮らしをしていました。だから、レイと関わることで、ラザラス自身、自分が妻にできなかったことや、寂しさを埋めているのかもしれないと思いました。レイとラザラスの交流はお互いにとってよい方向へ進んだのは、レイとラザラス双方の努力の結果だと思います。 レイがこれからの人生をロニーと二人でうまくやっていけるかはわからないけれど、ラザラスと鎖で繋がれた家での生活を思い出せば、困難は乗り越えられると思う。 そんなにエロくないけど、クリスティーナ・リッチのおっぱいは見れるので得した気分になります。 あと、サミュエルのマザフアッカは最高です。レイとラザラスが心を通わせていくシーンが大変よかったです。 ほな

ドン・ジョン

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ドン・ジョン(Don Jon) 監督・脚本・主演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット 2014年 アメリカ ※ネタバレしています! ジムで体を鍛え、女性の顔や体に点数をつけ、毎日違う女性とヤりまくっているプレイボーイのジョン(ジョセフ・ゴードン=レビット)。彼は友達からドン・ジョンと呼ばれていた。ただ、ジョンはポルノ中毒で生身の女性とのセックスよりもポルノを見てオナニーするほうが好きで、ポルノと現実の女性とのセックスとの差にがっかりしている。しかし、そんなジョンの前に二人の女性が現れる。それぞれの女性と付き合っていく中で、ジョンの考え方が変わっていく、という話。 自分もポルノ見るの好きなんですけど、そもそもポルノとセックスって全く別物じゃないんですか?????? ポルノ…完全に自分の趣味の世界。浸れる。自分の好きなようにできる。 セックス…相手とのコミュニケーション。相手ありき。 と私は考えているのですが、ジョンはこのポルノの考え方をセックスにも持ち込んでしまっているから満足できなんやろうな。ポルノでやってることを現実でもやってみたいな、っていうのはわからんでもないが、現実でできる範囲(相手も許容してくれる範囲)であればやればいいし、相手が嫌なことはできないし、そこが、ポルノとセックスの違うところやろう。 途中で、ジョンがポルノを見てることが、バーバラ(スカーレット・ヨハンソン)にばれて、ありえない!気持ち悪い!みたいになってたけど、女性でもポルノ見る人はいるやろうし、男性でもポルノ見ない人もいるやろうし、それって人それぞれやろう。劇中で、男は~、女は~、みたいなステレオタイプの押し付けみたいなんが結構あって、それって“普通”の人の思い込みやろ、って思った。 ポルノのほうが実際のセックスよりいいって思う人はポルノ見続ければいいし、でも、その自分の理想を相手に求めて、違ったからがっかりっていうのは本当に自分本位やなあと思った。これはジョンのポルノのことに限らず、バーバラが求める理想の男性像についても同じことが言えると思いました。 あと、ジョンの母親も、ジョンに対して自分の理想の息子像押し付けまくっていて、ジョンがかわいそうだった。 ジョンが自分の勝手な理想の世界一美しい女性とうまくいかな

ゴーストワールド

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ゴーストワールド(GHOST WORLD) 監督:テリー・ツワイゴフ  2001年  アメリカ 高校を卒業して、何をするでもなく人と違う生き方を選んでフラフラする女の子、イーニド(ソーラ・バーチ)の中二病的な特有の痛々しさや孤独、しかし、自分のことがよくわからなくて悩んでもやもやしていたモラトリアム期間にブシェミといろいろあって…という話。友人のレベッカ(スカーレット・ヨハンソン)やレコードオタクのシーモア(スティーヴ・ブシェミ)など魅力溢れる人物が脇を固めている。もともとはアメリカの人気コミックだったようで、映画の色使いなどとてもインパクトがあり印象に残っています。 『ファーゴ』に続き、スティーヴ・ブシェミが素敵な映画として思い浮かんだのが今作。そこかって感じですが、ブシェミの魅力は見ればみるほどだと思うんですがどうですか。 十代の痛々しさを今になったら冷静に見れるのですが、当時は自分もこんな感じで冷めた目線で厭世的に生きてたなあというのを思い出した。 町山智浩さんの映画ムダ話という音声ファイルの 『第七の封印』の話 を聞かせていただいたのですが、『第七の封印』の主人公アントニウスは教会で神父に“自分は社会に無関心あった。まるでゴーストワールドに住んでいるような感覚”と話すんですね。こういう気持ちになることって誰にでもあると思う。だから、共感できるし、イーニドのことを痛々しいなと思う反面、そういう気持ちもわかるところもあるから余計に心に響くんやと思います。この一見関係なさそうな二作の関連性を教えてもらい、新たな発見でした。 あと、印象に残ってるのはオープニングの曲です。頭にこびりついて離れなくなります。そして、イーニドのように踊りたくなる曲です。あと、イーニドとレベッカの服がかわいい。ブシェミがなんかかっこよく見えてくる。(気がする) なんかうまく書けないけど、どこにも属せない“普通”から外れた生き方をしているイーニドの孤独と、これからの生き方についてもやもやしながらも、でも、生きていく話。仲良かった友達とは別の道を歩むかもしれないし、変なおっさんと関わるかもしれないし、人生何が起こるかわからないけど、もやもやしながらも生きていく、そして、最後は私はいいようにとってるんですが、イーニドは自分だけの道を見

ファーゴ

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ファーゴ(FARGO) 監督:ジョエル・コーエン  1996年  アメリカ アメリカのファーゴという町の周辺で起こる連続殺人事件の話。 もともとは、ある1人の男が、借金を返すために、妻を狂言誘拐し、妻の父から身代金を払ってもらい、その金をいただくという算段だった。ところが、その狂言誘拐のために雇った殺し屋二人組が、妻を誘拐途中に関係のない誘拐の目撃者を殺してしまい、事件は泥沼へとはまっていく...。 コーエン兄弟の映画はそんなに見ていないので、どういう特徴のある映画かはまだわからないのだけど、少し前にレビューした『バーバー』に話の展開のしていき方は似ていると思いました。 小さなほころびが、どんどん大きくなっていき、とうとう自分の収集がつかないところまで行ってしまうというところが似ていると思いました。 面白いなと思ったところは、スティーヴ・ブシェミが殺し屋の二人組の1人のなんやけど、劇中で、警察官のマージが犯人を調査して聞き込みなどをすると、聞いた人みんなが、ブシェミの特徴について、変な顔、変な顔って言ってて笑った。 あと、ブシェミの最期もマンガかよ、って思わせるような終わり方で笑った。笑うとこじゃないと思うけど。 ジャケットにもなっていますが、町が真っ白な雪に覆われて何もないところに、死体が転がってるっていうね、美しいのかなんかわからないが美しいみたいなシーンが印象的だった。 中盤から後半にかけてすごいドタバタ劇になるんやけど、それが終わって妊婦の警官マージが、「私たち幸せね」とベットで夫にいうシーンはほのぼのする。あなたたちは幸せだ、と同意した。 人が不幸になっていく作品は少し苦手なのですが、最後まで引きつけられる作品でした。 出てくる人みんなあまり好きになれなかったですが、ブシェミがめっちゃ印象的でした。 ほなね

ヘルハウス

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ヘルハウス(THE LEGEND OF HELL HOUSE) 監督:ジョン・ハフ  1973年  イギリス 科学者のライオネルはある富豪に幽霊が出るという屋敷を買い取ったので調査してほしいと頼まれる。多額の報酬に釣られ、ライオネルは承諾。妻のアンと霊能力者のフィッシャー、タナーを連れて屋敷へ向かいます。 屋敷の名前は「ヘルハウス」。昔の持ち主であった“吼える巨人”ことベラスコという男は異常性格の持ち主で屋敷で何人もの人々を虐殺したり、怪しいいろいろなことをしていたそうだ。ベラスコはその後行方不明となり、それから奇妙な現象が屋敷で起こるようになったという。四人は屋敷で何と遭遇するのか...。 もう一度見たい作品をレビューします。 子供の頃に初めて見た本格ホラーです。いわゆる“お化け屋敷もの”です。幽霊の姿は一切見えないのに、何だか雰囲気というか気配でむちゃくちゃ怖がらす感じ。あと、屋敷にいる霊のせいで調査に行った人が頭がおかしくなっていくところや、姿が見えない霊に殺されていくという展開に震え上がりました。話の意味も当時よくわかっていなかったのですが、“すごく怖かった”という印象だけを残して数十年経った今も頭の中に残っています。 なんか電磁波を使って霊の存在を調べるみたいなことをしていて、そのへんはあんまり面白くないな、と思いながら見ていたのですが、最後ベラスコの謎が解けたとき、あの異様な雰囲気にゾッとしたのを今でも覚えています。あと、メインの登場人物が4人と少なく、キャラクターもしっかりしているので、わかりやすいです。 最終的にベラスコの意図や、なぜ屋敷に窓がないのかなど謎が解けるので、そういうことだったんか、と納得します。屋敷に漂う雰囲気が異様なことを味わえることと、見えない霊の存在がとても怖い作品です。 映画から受ける作品の色のイメージは赤と青白い青。 もう一度見返したい屋敷ものホラーです。おすすめです。 ほな

セントラル・ステーション

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セントラル・ステーション(CENTRAL DO BRASIL) 監督:ウォルター・サレス 1998年 ブラジル 主人公のドーラは昔は教師をしていたが、今はリオデジャネイロの中央駅で手紙の代筆業をしている。字が書けない人のために、変わりに手紙を書いているのだ。 ある日少年を連れた母親がドーラに代筆を頼みに来た。しかし、その女性はその直後、トラックにはねられて亡くなってしまう。残された幼い少年ジョズエは一人になってしまった。不憫に思ったドーラはジョズエを養子縁組の斡旋所に連れて行くが、実はそこが臓器売買の闇組織だと知り、慌ててジョズエを連れ戻し、ジョズエの父親を探す旅に二人で出る話。 今の日本では手紙の代筆業という仕事は聞かないけれど、ブラジルの識字率など日本との違いを知って、はっとした。また、臓器売買の業者などブラジルだけではないが、社会の闇を描き出している。 ドーラとジョズエが旅に出てからは、ロードムービーになり、二人の交流や、道行く人々との交流の様子が描かれていきます。 人嫌いで冷たい印象のあるドーラでしたが、ジョズエと旅をしていくうちに、優しい心や、人の温かさというものを取り戻していきます。 ジョズエと一緒に写真をとって、なんか小さな入れ物(?)なんかレンズで覗けるやつに入れてもらう夜のシーンが好きです。 最後にドーラがジョズエに書く手紙がとてもいいです。ドーラの心が旅の中で少しずつ変わっていっていくのが印象的です。 これも好きなブラジル映画の一つです。ブラジルの社会の様子、ギャングはあまり出てこないけど、人間の心の移り変わりを描いた旅の物語です。良作です。 ほな

シティーハンター

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シティーハンター(城市猟人)  監督:バリー・ウォン 1993年 香港 子どもの頃からジャッキー・チェン大好きなんですが、たぶんこの映画が一番繰り返し見た作品です。 コミック原作の『シティーハンター』を映画化したものなんやけど、私は原作を読んでいないので、主人公の 冴羽 獠 くらいは知っていたんですが、原作の映画化というよりは、ジャッキー映画として見ていました。 ストーリーは私立探偵のリョウ(ジャッキー・チェン)が社長令嬢の清子(後藤久美子)を探し出してほしいという依頼を受け、清子を追いかけ豪華客船に乗り込むが、そこにテロ組織も乗っていて、テロが始まる。リョウは相棒の香や冴子らと協力してテロ組織と戦う話。出てくるキャラクターたちもみんな個性的で面白いです。途中で「ガラガラヘビがやってくる」のカバーを歌うライブが始まったりと、いろいろぶっ飛んでますが愛すべき作品です。 ジャッキー映画って基本コメディ色強くて笑かしてくれる系やと思ってるんですが、本作はその他のジャッキー映画と比べて群を抜いてバカっぽいです。(褒めています)そこが受け入れられる人と、ちょっと無理だなと思う人と分かれる思いますが、ジャッキーのアクションはキレッキレなので、すごく楽しめる作品です。私はB級映画も好きなので、このジャッキー×バカっぽいB級臭さが自分の中でツボにはまったんだと思います。 私が特に気に入っているシーンは、(アクションは全部かっこいいんだけど) ・最初のほうのジャッキーがスケボーで逃げるシーン ジャッキーのスケボーテクニックはいつ見てもかっこいいです。 ・船の中の映画館で巨大な黒人に2人に立ち向かうシーン ここで『死亡遊戯』が上映されていて、ジャッキーがブルース・リーの戦い方を真似して敵と戦うところがすごく熱いシーンです。 ・ストリートファイターⅡのチュンリーになるジャッキー なんでジャッキーがチュンリーになっているかというと、船の中でゲーセンのような場所があって、そこで、その筐体にぶつかったジャッキーが突如エドモンド本田になったり、チュンリーになったり、敵がケンになったり、他にもガイルやダルシムも出てきます。このストⅡの再現率が大変高くて、面白くてすごく好きです。ちょっと何言ってるか訳がわからない

カランジル

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カランジル(CARANDIRU) 監督:ヘクトール・バベンコ 2003年 ブラジル この映画は1992年にブラジルにあるカランジル刑務所で囚人111名が虐殺された事件をもとにして作られたものです。カランジル刑務所は2002年に博物館として使用される1ブロックを残し、全て解体されたそうです。 カランジル刑務所に1989年~2001年でボランティアをしていた医師のDrauzio Varellaが『カランジル駅』という名前で小説を書いたものが映画化されました。 ということで、この映画は医師の目線で話が進んでいきます。カランジル刑務所は収容人数が4000人のところを7500人もの人が収容されていて、刑務所内の環境は劣悪だった。しかし、刑務所内の雰囲気は自由で、開放感があります。刑務所内にはさまざまな囚人がいて、それぞれの生活を満喫(?)しています。中でも印象に残っているのが、ロドリゴ・サントロがゲイの役で登場していて、恋人と刑務所内で結婚式を挙げるシーンです。 後半で刑務所内で暴動が起き、警察の鎮圧部隊が鎮圧に入るのだけれど、暴動を止めるための鎮圧という名のやりすぎの虐殺。ここからの映像はすさまじいです。片っ端から殺していくというか追い詰めいていくという感じ。逃げ惑う囚人たち。映像は大変迫力があります。 私は、この映画で初めてブラジル映画を見ました。実際に起こった話を映画化して社会に広く知ってもらうということがブラジル映画には多いと思うのだけれど、そこが私がブラジル映画の好きなところです。実際の刑務所内の話や、警察による理不尽な虐殺(ブラジルは警察による理不尽な虐殺事件が多い気がする)を包み隠さずメディアに流し、社会で起こるおかしさを世界に発信します。こういうところがブラジルのすごいところだと思います。 この映画がきっかけでブラジル映画の魅力を知り、興味を持った私は『シティ・オブ・ゴッド』の世界にはまっていくのでした…。 刑務所であろうとファヴェーラ(スラム街)であろうとブラジルの底抜けの明るさと開放的な雰囲気がある国民性がブラジル映画には出ていて、そこが私がブラジル映画を好きな理由でもあります。ブラジルへ行ってみたい。ブラジル映画はオススメです。カランジル始め、どれも面白いです。 ほなまた

マミー

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マミー(Mommy) 監督:グザヴィエ・ドラン  2015年  カナダ ※ネタバレしています! 父親を亡くし、母と子が二人で暮らしていく物語。息子のスティーヴはADHDという発達障害を持っており、施設に入っているが、施設では手に負えない状況で、施設から母に引き取ってほしいと連絡が来る。 ここで私が印象に残っているのは、施設の職員の女性が母ダイアンにかける「愛だけでは救えないのよ」という言葉。 見終わってみて、確かに、愛だけでは救われないかもしれないと思いました。愛がいくらあっても、お互いの努力がないとどうしようもないと思うからです。しかし、愛があるからお互い努力しようと思えると思うので、まず、第一に愛ありきではあるとは思いますが...。むしろ、愛なしで誰かと一緒に生活していくのはただの苦痛じゃないかと思います。 ダイアンはスティーヴを引取り、新しく家を借りて二人で生活を始めます。ダイアンはスティーヴのことを愛していて、スティーヴもダイアンのことを愛しています。ですが、いっしょに生活していくとなると、スティーヴの衝動性や一旦キレると手がつけられなく状態が生活を穏やかにしません。スティーヴはそんな自分に対して苛立ちを覚えつつも、母のためならどんなことでもしたい、と思って実際に行動に移したりして、それはそれでまた問題を引き起こしたりして、踏んだり蹴ったりな状況になったりします。 ダイアンはスティーヴのどうしようもなさに、私はこんなに頑張ってるのに、あんたのせいでこうなってるのよ、と怒鳴り散らすときもあります。しかし、最後には、「でも、いいのよ」と言います。 スティーヴがスケボーに乗って腕を広げているシーンがすごく印象に残っています。外のシーンの空や風景がとても綺麗で、生きづらく窮屈な日常からスティーヴの心が解き放たれるような解放感を見ている私も味わいました。 ダイアンは向かいに住むカイラ(教師をしているが現在休職中)と仲良くなる。カイラはスティーヴとも気が合うようで、3人が揃うことでお互いに作用し合って幸福な時間を過ごします。 最後は、保護者に何らかの理由があれば、発達障害の子を法的手続きなしで病院に入れることができる新しい法律の適用のもと、ダイアンはスティーヴを病院に入れます。

秋のソナタ

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秋のソナタ(Höstsonaten)(AUTUMN SONATA) 監督:イングマール・ベルイマン  1978年  スウェーデン 私は、母と子の物語といえば、グザヴィエ・ドラン監督が一貫して持っておられるテーマとして思い浮かぶのですが、母と子の物語で壮絶な作品として私が思い浮かぶのは、この『秋のソナタ』です。(『マミー』も見てきました。また書きます。) ピアニストとして芸術に生きた母(イングリッド・バーグマン)と、その家庭を顧みない母の元で抑圧されて育った娘(リヴ・ウルマン)の会話が中心となって物語が進んでいくいつものベルイマン節満載。 この母と娘の魂のぶつかり合いというか会話がすごい。何がすごいってベルイマンの作品は言葉で表現しにくいのだけれども、母と娘が本当に思っていたことを母は60代くらい(?)、娘は40代くらいになって初めてぶちまけるのだから、今までの積年の思いが溢れ出る。あのとき私はこう思っていた~、あの頃こんなに辛かったんだ~などなどなど...。 ドラン監督の『マイ・マザー』では、17歳の息子が等身大の思いを現在進行形で母にぶちまけたりしている話であったが、この『秋のソナタ』では、そういったことができなかった親子が、ふとしたことから本音をぶちまける話です。延々会話でほぼ場面の変化もあまりないが、それでも見せるのがベルイマンです。 そして、この母と娘を演じる二人がまたいいんです。人間なんです。すごくリアルな人間なんです。ああ、こういうどうしようもない思いってあるよな、って見ていて思いました。つくづく、思っていることや、もやもやしていることはお互いちゃんと話したほうがいいよな、とこの映画を見ると思います。それが積もりに積もって爆発する前に…。そういうこと話すのはしんどいんやけどね。ベルイマンはこういう生の人間の汚い部分であるとか、本来なら描かれない人間の中身を描くのがとても上手い監督だと思います。だから、私はこのベルイマン作品が大好きです。 母と子という普遍的なテーマを扱う作品は、自分に置き換えて見てみたり、自分の過去を思い出したり、自分と深く関わる物語だからこそ、心の深い部分を揺さぶり続けるんでしょうね。 静かな映画ですが、人間の内面の激しさをものすごく描いた激しい映画です。魂をえぐられます。ずっと

アポカリプト

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アポカリプト(APOCALYPTO) 監督:メル・ギブソン  2006年  アメリカ 前回レビューしました『 裸のジャングル 』と話の内容はよく似ています。 今回はマヤ文明時代。ジャングルの奥地に暮らす部族の一人、ジャガー・パウが主人公です。ジャガー・パウは仲間や妻(第二子を妊娠中)と子供と何不自由なく楽しく毎日を過ごしていた。 ある日マヤ帝国のからの襲撃を受け、マヤ帝国まで仲間たちとともに無理やり連れて行かれる。巨大なマヤ帝国の街におどろくジャガー・パウ。中央の巨大なピラミッドの上では干ばつを鎮めるための儀式のための生贄が捧げられていた。一人ずつ生贄として殺されていく仲間たち…。ジャガー・パウも殺されかけるがぎりぎりのところで脱出。しかし、次は人間狩りの標的となってしまう。襲撃された際に、村のはずれの地下の穴に妻と子は隠してきた。妻と子を救うために、ジャガー・パウは必死に、村へと逃走するのであった。果たして、逃げ切って、妻と子を助けることができるのか…!という話。 未開の地の部族(ジャガー・パウ一族)が、文明を持った部族(マヤ帝国の人々)から襲われるという植民地時代を彷彿とさせる話なのだが、全編にわたってスピード感あふれる演出には目を離す暇がないです。ジャガー・パウが父から受け継いだ狩りの方法や、ジャングルの地で生きてきた人間ならではの知恵を生かしてマヤ人に応戦しながら、走ります。この映像の美しさと疾走感が素晴らしいです。ジャガー・パウ(ルディ・ヤングブラッド)の演技もかっこよく、この俳優さんの身体能力の高さをすごく感じました。 逃げるだけでなく、妻と子を救うという目的もあるため、より一層危機迫る感覚がこちらにも伝わってきて、見ているこちらも、「早く!」という気持ちになる。 以下ネタバレあります。 =================== ラストでスペインの船が、ジャングルに到着して、スペイン人が降りてくるところで終わるんやけど、これは結局、ジャガー・パウたちは逃げ切ってもまた別の戦う相手や、逃げないと行けない相手がいるっていう意味なんかな。 未開の地がどんどん植民地化されていくのは悲しいが、そういうことが実際に起こった事実。文明化するのはいいが、それが他の人を脅かすのはど

裸のジャングル

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(※笑ってる変なおっさんの絵に見えますが命がけて逃げているところです。原住民も描きたかったんですが、力尽きました。)(パンツ細すぎたな) 裸のジャングル(THE NAKED PREY) 監督:製作:主演:コーネル・ワイルド 1966年 アメリカ 19世紀のアフリカ。白人のハンターたちは自分たちの利益のためだけにハンティングをしている。象牙のないメスの象まで殺したり、面白半分でたくさんの象を殺したりと、原住民の言うことを聞かない。原住民の怒りを買った白人ハンターたちは原住民に襲われます。今度は自分たちが狩られる番になってしまいました。 土で全身を固められ火あぶりにされたり、かなり残虐な方法で殺されます。唯一生き残ることを許された白人ガイド(コーネル・ワイルド)は逃げてもいい、と原住民から逃がされる。しかし、これは、原住民たちの余興である人間狩りの始まりであった…。 アフリカの大自然の中で繰り広げられる逃走バトル。映像は美しく、灼熱の大地の中命がけの逃走が始まります。原住民に襲撃されてから、ほぼ会話は現地語なので何言ってるかわかりませんが、その動作や表情で何が言いたいのかがわかります。一人逃がされたガイドは、ほぼ裸でジャングルに放り出され、必死で逃げるのですが、あとから追ってきた原住民たちから逃げるだけでなく、反撃をし、武器や靴など少しずつ物を奪いながら逃げます。そこで原住民も殺されたりしているので、お遊びのつもりでやっていた追いかけっこが殺し合いの様相を呈してきます。ここからがハラハラする展開になっていきます。どちらが殺るか殺られるか。 途中、他の原住民に襲撃された村で一人の少女と出会うシーンがあったり、逃げている中にもいろいろなエピソードが盛り込まれていて面白いです。 言葉はほとんど話されなくても、映像だけで見せるすごく面白い作品です。 以下ネタバレです。 ===================== 最後、味方の援軍のところまで逃げ延びて、原住民に手を振るガイド。そうしたら、原住民の酋長も手を振り返して、お互い「お疲れ!」みたいな感じで帰っていくんですね。ここ、すごく不思議な感じですが、印象に残るシーンでした。命のやりとりをしていく中で、ガイドと原住民はお互いの力と知恵

霊幻道士3/キョンシーの七不思議

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霊幻道士3/キョンシーの七不思議(Mr.Vampire PartⅢ) 監督:リッキー・ラウ 1987年 香港 この作品は、キョンシーを見て育った私のむちゃくちゃお気に入りの作品です。 子どもの頃は、幽幻道士のビデオはたくさん持っていたのですが、霊幻道士でもっていたのはこの1本だけでした。大人になってから霊幻シリーズを改めて見てみたのですが、どれも面白いものの、やっぱり3が思い入れもあって霊幻シリーズの中では1番好きだなと思いました。(1も気に入っています) 内容は、ラム先生(超強い道士)が女の妖術師と戦う話。 本作は、半人前の道士や、その友達のキョンシーの兄弟のターパオとチーパオも出てくるなど愛嬌のあるキャラクターもたくさん出てきます。キョンシーというよりは、妖術使いの悪魔(?)(もしくは悪霊)と戦う話がメインです。その中でドタバタあり、笑いあり、アクションありで最初から最後まで全く飽きずに見ていられます。途中、ラム先生の誕生日会でサモ・ハン・キンポーも登場します。 半人前道士とラム先生の対比が面白いショットがあったり、道士の服が鷹に見える妖術をかけられたターパオ(仲間キョンシー兄)が襲ってくるシーンなど、怖いシーンなんですが笑えます。あと天ぷらキョンシーも印象的。目玉ぽとり。 しかし、まあ何と言ってもラム先生のアクションがむちゃくちゃかっこいいので、敵が出てくると、ラム先生の弟子と同じように「先生~!」と助けを請いたくなります。ラム先生の弟子は嫌なやつなんですが、とてもいい味を出しています。本作では、キョンシーの兄弟も仲間としていっしょに協力して戦うところが好きです。 最後の何か名前わからないんですが、ホウキの毛が長くなったような武器で戦うラム先生かっこよすぎやと思います。最後トドメを刺すシーンは感動します。敵役の女妖術師もすごく執念深くて仲間思いで、言葉はほとんど話さないのに、すごく怖くてアクションすごいです。全編通して、面白いシーンばっかりで大好きな作品です。何回でも見たいです。 ほなまた明日