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映画『チョコレートドーナツ』と『わたしはロランス』に見る性的少数派の目線 1/3



考えようと思ったきっかけ

この二つの映画作品はどちらも大変高く評価されている映画作品だが、私の評価には雲泥の差があります。私は『わたしはロランス』のほうが断然好きです。ただの好みの問題ではなく、『わたしはロランス』のほうは、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)にスポットを当てた映画かと思いきや、多数派(ここでいう多数派とは、セクシュアルマイノリティ以外の方を指しています。)の心の動きにスポットを当ててくれています。そこも踏まえ、この二作をセクシュアルマイノリティ側から見た目線の違いについて考えていきたい。


『チョコレートドーナツ』監督:トラヴィス・ファイン  2012 年 アメリカ

あらすじ

1979年、カリフォルニア。シンガーを夢見ながらもショーダンサーで日銭を稼ぐルディ。正義を信じながらも、ゲイであることを隠して生きる弁護士のポール。母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年・マルコ。世界の片隅で3人は出会った。そして、ルディとポールは愛し合い、マルコとともに幸せな家庭を築き始める。ポールがルディのために購入した録音機でデモテープを作り、ナイトクラブへ送るルディ。学校の手続きをし、初めて友達とともに学ぶマルコ。夢は叶うかに見えた。しかし、幸福な時間は長くは続かなかった。ゲイであるがゆえに法と好奇の目にさらされ、ルディとポールはマルコと引き離されてしまう……。血はつながらなくても、法が許さなくても、奇跡的に出会い深い愛情で結ばれる3人。見返りを求めず、ただ愛する人を守るために奮闘する彼らの姿に我々は本物の愛を目撃する。(公式サイトより)

チョコレートドーナツのレビュー
http://www.pqnology.com/2015/01/blog-post_94.html

『わたしはロランス』 監督:グザヴィエ・ドラン 2012年 カナダ,フランス

あらすじ

モントリオール在住の小説家で、国語教師のロランスは、
美しく情熱的な女性フレッドと恋をしていた。
30歳の誕生日、ロランスはフレッドにある秘密を打ち明ける。
「僕は女になりたい。この体は間違えて生まれてきてしまったんだ」。
それを聞いたフレッドはロランスを激しく非難する。
2人がこれまでに築いてきたもの、フレッドが愛したものが否定されたように思えたのだ。
しかし、ロランスを失うことを恐れたフレッドは、
ロランスの最大の理解者、支持者として、一緒に生きていくことを決意する。
メイクを教え、女性の服装で生活すべきだと促すも、
モントリオールの田舎町で生活するのは困難がつきまとう。
あらゆる反対を押し切り、自分たちの迷いさえもふり切って、周囲の偏見や社会の拒否反応の中で、ふたりはお互いにとっての"スペシャル"であり続けることができるのか…?(公式サイトより)

『わたしはロランス』のレビュー
http://www.pqnology.com/2015/01/blog-post_23.html



どちらの作品もセクシュアルマイノリティ(あるいは障害を持っているというマイノリティ)である人物を主軸に据え、話が進んでいきます。しかし、『チョコレートドーナツ』のほうが圧倒的に多数派の人の支持が多い気がします。(Filmarksという映画アプリをやっているんですが、断然『チョコレートドーナツ』のほうがレビューを書いている人が多い。あと周りで見た人が多いなど話題性としても、『チョコレートドーナツ』のほうが大きかった。これらのことから、私は、『チョコレートドーナツ』のほうがたくさんの多数派の方が見たのだと思いました。)

なぜ、『チョコレートドーナツ』のほうが多くの人が見ているのか

1番に思ったことは、 ぱっと見のその映画のわかりやすさじゃないかと思いました。
『チョコレートドーナツ』では、ゲイのカップルがダウン症の子を育てるというストーリーがわかりやすい形で、人々の興味を引いたのではないか。
それに対して、ロランスのほうは、ぱっと見トランスセクシュアルの恋愛話と捉えられやすい気がします。
ロランスという人物は生物学的には男性、しかし、女性になりたいというトランスセクシュアルだということ、そして、心は女性だというロランスが好きになるのが、フレッドという女性だということに、多数派の人は戸惑うかもしれません。こう考えると、取っ付きやすさの点では、チョコレートドーナツのほうが上な気がします。

私は、『チョコレートドーナツ』からは絶望や死を、『わたしはロランス』からは希望や生(生きるということ)を感じました。この対極にある感情はどこから生まれてきたのか、考えていきたい。

つづく→2/3

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