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ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ
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ジュ・テーム・モワ・ノン・プリュ(JE T'AIME, MOI NON PLUS)
監督:セルジュ・ゲンズブール 1975年 フランス
ゲイのカップルとストレートの中性的な女性との三角関係を描いた話。
主演の3人はクラスキー(ジョー・ダレッサンドロ)、パドヴァン(ユーグ・ケステル)、ジョニー(ジェーン・バーキン)。ジェーン・バーキンとジョー・ダレッサンドロって最高じゃないですか?美しいわ~
ゴミの回収を仕事にしているクラスキーとパドヴァン。荒野の小さなバーで働くジョニー。この映画の舞台自体は汚い場所であるにも関わらず、見終わった後は、美しい映画を見たなあ、と思わせてくれる映画です。
クラスキーは、少年のように見えるジョニーのことを気に入り、ジョニーもクラスキーのことを好きになっていきます。それを不安そうに見つめ、荒れていくパドヴァン。
クラスキーは、女性の体であるジョニーに対して、正常位でセックスすることができず、無理だと言います。すると、ジョニーが「私を男だと思って」と言って、後ろから攻められる場面はすごいなと思った。
アナルが痛すぎてジョニーがギャーギャー言いすぎて、どこのモーテルも追い出されるみたいな展開にちょっと笑ったらあかんのやけど、ちょっとだけ笑ってしまった。なんか微笑ましかった。
それで、結局最後に、自分たちのトラックの荷台の上で無事(?)結ばれて、そこで、クラスキーが「大切なのは体の向きじゃない。体を交わらせて同時に達するとこだ」みたいなことを言うんですけど、ちょっと感動した。セクシュアリティを越えてお互いが通じ合ってるって素晴らしいなと感じました。このシーンの音楽もすごくよかった。
でも、私がいつも感じてたのは、パドヴァンのことは大丈夫??という一抹の不安であった。
クラスキーは純粋さ故に、悪気なくやってるように見えるんやけど、当のパドヴァン本人は心中穏やかなはずはなくて、涙を流しながら、「あの娘がいいのかよ!」とクラスキーに突っかかるところは、かわいそうながらもかわいいなあと思いました。
そして、ついに、パドヴァンが我慢仕切れなくなって、いつも持っている大きめのビニール袋をジョニーの顔に被せて殺そうとします。通りがかったクラスキーがそれを発見し、見つかったパドヴァンは殴られる、と脅えた表情を見せますが、クラスキーはパドヴァンのことを殴りません。そんなクラスキーを見て、「早くこいつを殴って!」と頼むジョニー。しかし、殴らないクラスキー。
ここで、察するに、クラスキーはパドヴァンのこと殴らないのは、殴らないんじゃなくて、殴れないんだろうなと思った。今までパートナーとして一緒にやってきて、ゲイであるという差別や偏見の目からも一緒に乗り越えてきた二人の絆は相当なものであると思うので、ここでクラスキーが発した「殴ってどうなる?」というセリフは私も同じように思いました。(このシーンの少し前にゲイという理由でパドヴァンがリンチに遭うシーンがある)パドヴァンがジョニーに対してしたことはひどいことだが、そもそも、パドヴァンがジョニーを襲ったのは、クラスキーのことが好きだからである。その気持ちもすごくわかるし、辛い気持ちにさせたこともクラスキーが感じているのであれば尚更、パドヴァンのことは殴れないだろう。たとえ、少し、少年のような女性を好きになったとしても、その絆は切れないんじゃないかと思いました。
しかし、そんな様子を見て、ジョニーは、一番言ってはならない言葉をクラスキーに対して言ってしまう。「オカマ!」という言葉。
この「オカマ」という言葉を聞いて、クラスキーの中の何かが切れる音がした気がした。ジョニーにしてみれば、パドヴァンに対する嫉妬から衝動的に言ってしまった一言ではあると思うのだが、今まで、そういったセクシュアリティを越えた付き合いをしておきながら、なぜ、今更そんな言葉が口をついて出るのか私は理解できなかった。ここで、せっかく今までなくなっていたセクシュアリティの壁が大きく現れ、二人の関係は引き裂かれる。
たとえゲイであっても、自分が惹かれる人を好きになるクラスキーに対して、あまりにも偏見に満ちたその言い方は私もすごくショックを受けた。クラスキーは、ジョニーに対して性別を越えた魅力を感じたから惹かれたんだと思う。じゃないと、自分はゲイなのに好きにならないと思う。
その後、「パドヴァン、行くぞ」と言ってクラスキーがパドヴァンを連れてジョニーの店を後にするところで、パドヴァンがめちゃくちゃ嬉しそうにビニール袋を振り回しているのが、すごく印象的だった。そら嬉しいよな。
その後、「パドヴァン、行くぞ」と言ってクラスキーがパドヴァンを連れてジョニーの店を後にするところで、パドヴァンがめちゃくちゃ嬉しそうにビニール袋を振り回しているのが、すごく印象的だった。そら嬉しいよな。
後から、「今のは嘘だったのに」というジョニーを尻目に、クラスキーとパドヴァンの乗ったトラックは去っていく。儚い。まあ、クラスキーがジョニーもパドヴァンのことも好きだということでこうなってしまったという説もある。現実問題、三人でうまくやるというのはむつかしいよなあああ。
という、あっけない幕引きなのだが、それまでの一つ一つのシーンは大変美しく、どのシーンもとても印象に残るものでありました。これは名作だと思います。ずっと探しててやっと見つけて見たのですが、期待を裏切らず、大変興味深い作品でした。
ジェーン・バーキンがめちゃくちゃかわいいです。それだけでも一見の価値ありです。あと、ジョー・ダレッサンドロの笑顔とイノセントさは相変わらずです。あと、途中、白馬に乗って放浪しているジェラール・ドパルデューが一瞬だけ出てくるのですがすごいインパクトあった。そして、謎だった。
映画のタイトルにもなっている主題歌(?)を置いておきます。(喘ぎ声入り)
この歌はもともと、セルジュ・ゲンズブールが不倫相手のバルドーのために書いて歌ったって聞いて、すごいなと思いました。しかし、バルドーは当時の夫にこのことがばれるのを恐れ、曲のリリースを拒否したそうです。それで、1969年に、バーキンとゲンズブールのデュエットとしてリリースされました。バルドーとのデュエットはもっと後にリリースされたそうです。
バーキン版とバルドー版聴き比べてみて、ジューテムの言い方はやはり、バルドーのほうがえろい。というかエロさだったらどう考えてもバルドーだけど、私は、バーキンのほうが好きです。
ゲンズブールってほんまに美しい人が好きやったんやろうな。DVD本編以外に収録されているジェーン・バーキンのインタビューで、バーキンが、セルジュはほんとに美しく映画を撮ったって言ってはって、ほんまやなあと思いました。まあ、あなたが一番美しいですが。すごくお気に入りの作品です。熱い映画だった。ほんとによかったです。
ほなまた
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