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儀式


儀式
監督:大島渚 1971年 日本

戦後の桜田家一族のどろどろに翻弄される一人の男、満洲男が自分の過去を振り返りながら、従兄弟のテルミチの元へ船で向かうという話。

むちゃくちゃ端折りましたが、この“どろどろ”部分がほぼ作中の内容です。戦後、満洲から母と二人で引き上げてきた満洲男は父親が自殺したことから、祖父に桜田家の跡継ぎとして引き取られます。桜田家は家父長制そのもののような家。祖父は息子の嫁や、何人もの妾に子どもを産ませ、もう一族が誰が誰やら複雑すぎてよくわかりませんでした。その中で、満洲男の叔母にあたる節子さんのことが私は印象に残っています。小山明子さん演じる節子は大人の魅力があり、しかしどこか怪しく、影のある女性でした。満洲男も節子さんのこと好きなんだなということが伝わってきました。

好きな内容でもないし、話はほぼ桜田家の屋敷の中で進んでいくし、ほぼ葬式か結婚かしかない内容なのに、最後まで見ました。どうなるんやろう、どうなるんやろう、と引っ張っていく力がこの映画にはありました。あと、小屋の中に入ったら、いきなり外になっていたりなどぶっ飛び演出もあり、そういうところも私が集中力を切らさずに(眠らずに)見られた理由だと思います。

以下、印象に残ったところ

・祖父が一族の女性をほぼ全員を食ってる
・家父長制に振り回される男性の存在
・小山明子さんかわいい
・桜田家の女性の眉毛全剃りの掟
・エア挙式
・エア挙式の日に葬式
・遺体を棺桶から出してそこに自分で入る満洲男
・エア初夜
・小屋の中に別次元
・祖父の後ろから青い後光が差している(常に)
・地面に耳をつけて亡くなった弟の声を聞こうとする満洲男

家父長制は男性優位の制度だと思っていたのだが、その制度に苦しめらる満洲男(相手がいないのに早く跡継ぎを残せとか、おじいさんの仕事の跡を継げ、と周りに急かされて、げんなりしている様子)を見て、家父長制に苦しんだのは、女性だけじゃなく、男性でも苦しんだ人がいたのだと知ったのが衝撃的だった。しかし、そもそも家父長制には女性の権利なんてないので、そう考えると満洲男の苦しみは女性よりもよっぽどましだが。

大島渚監督は冠婚葬祭儀式への批判、一族の連綿と続く儀式の滑稽さを描きたかったのか。横溝正史の『犬神家の一族』や『獄門島』のような一族のどろどろ、本家、分家のいざこざ、こういうのを見ていると、現代の家族の多様性は、現代になってよかったと思える数少ない点だと思います。

この時代の監督って自分のかわいい妻をかわいい役として使うの好きやんな。


ほんならまた


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