秋のソナタ


秋のソナタ(Höstsonaten)(AUTUMN SONATA)
監督:イングマール・ベルイマン  1978年  スウェーデン

私は、母と子の物語といえば、グザヴィエ・ドラン監督が一貫して持っておられるテーマとして思い浮かぶのですが、母と子の物語で壮絶な作品として私が思い浮かぶのは、この『秋のソナタ』です。(『マミー』も見てきました。また書きます。)

ピアニストとして芸術に生きた母(イングリッド・バーグマン)と、その家庭を顧みない母の元で抑圧されて育った娘(リヴ・ウルマン)の会話が中心となって物語が進んでいくいつものベルイマン節満載。
この母と娘の魂のぶつかり合いというか会話がすごい。何がすごいってベルイマンの作品は言葉で表現しにくいのだけれども、母と娘が本当に思っていたことを母は60代くらい(?)、娘は40代くらいになって初めてぶちまけるのだから、今までの積年の思いが溢れ出る。あのとき私はこう思っていた~、あの頃こんなに辛かったんだ~などなどなど...。

ドラン監督の『マイ・マザー』では、17歳の息子が等身大の思いを現在進行形で母にぶちまけたりしている話であったが、この『秋のソナタ』では、そういったことができなかった親子が、ふとしたことから本音をぶちまける話です。延々会話でほぼ場面の変化もあまりないが、それでも見せるのがベルイマンです。

そして、この母と娘を演じる二人がまたいいんです。人間なんです。すごくリアルな人間なんです。ああ、こういうどうしようもない思いってあるよな、って見ていて思いました。つくづく、思っていることや、もやもやしていることはお互いちゃんと話したほうがいいよな、とこの映画を見ると思います。それが積もりに積もって爆発する前に…。そういうこと話すのはしんどいんやけどね。ベルイマンはこういう生の人間の汚い部分であるとか、本来なら描かれない人間の中身を描くのがとても上手い監督だと思います。だから、私はこのベルイマン作品が大好きです。

母と子という普遍的なテーマを扱う作品は、自分に置き換えて見てみたり、自分の過去を思い出したり、自分と深く関わる物語だからこそ、心の深い部分を揺さぶり続けるんでしょうね。
静かな映画ですが、人間の内面の激しさをものすごく描いた激しい映画です。魂をえぐられます。ずっと心に残る作品です。

ほんならまた明日

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