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僕らのミライへ逆回転



僕らのミライへ逆回転(BE KIND REWIND)
監督:ミシェル・ゴンドリー  2008年  アメリカ

アメリカ、ニュージャージー州のパセーイクという町の一件のレンタルビデオ屋の話。店名は“BE KIND REWIND”(次の方のためにも巻き戻して返却してね)
市から新しい建物を建てるために、古いこの店は立ち退きを迫られます。立ち退かないためには、屋根を直す多額の費用が必要。しかし、現代はDVDが主流でアクションやコメディなどわかりやすいド派手な大作映画ばかりがレンタルされている。店長のフィッシャー(ダニー・グローヴァー)は頭を抱えてしまいます。

フィッシャーは打開策を考えるべく、ライバル店へ視察へ。店を空ける間マイク(モス・デフ)に店を任せる。ところが、マイクの友達のジェリー(ジャック・ブラック)がなんやかんやあって電磁波を帯びた体で店内に入ると、その影響でビデオの内容がすべて消えてしまった。お客さんが借りにきたが、ビデオの中身がない。マイクは客が見たい映画をリメイクすることを思いつく。マイクとジェリーは、ビデオカメラを片手に手作りの“スウェード”(マイクたちのいうスウェーデン製)の映画を撮っていくのだった...。


すごく面白い作品でした。最初、コメディとして楽しむために見ていたのですが、マイクとジェリーが始めたチープな映画作りが、だんだん、パセーイクの町全体(子どもから大人まで)を巻き込んだ一大プロジェクトとして映画が作られていくことに、いつしか町の人と同じ気持ちで映画にのめり込んで見ていました。

メイキング映像を見てみると、実際にパセーイクに住む住民たちが映画に出演していたそうで、驚きと、映画の力を感じてすごいなと思いました。映画に出演しているパセーイクの人々はみんな生き生きしていて、輝いていました。監督は町も物語の一部にしたかったと言っており、実際にそうなった映画なのだけれど、住民と俳優と監督とスタッフと一丸となってこのパセーイクの町の映画を撮ったっていうのが本当にすごいことだと思いました。
そして、映画の中で劇中劇として描かれるパセーイクで生まれたという伝説があるファッツ・ウォーラーという1920年~30年代に活躍したジャズ・ピアニストの存在もとても大きいものだと感じました。

映画を作るというのは、綿密に計画を立てて、監督、スタッフ、役者が打ち合わせを繰り返し、一つ一つのシーンが撮られていきます。それは、かなり大変なことだと思います。それを普段映画の撮影などとは関係のない町の人々まで取り込んでやってしまうということに、ミシェル監督の手腕を尊敬します。そして、ジャック・ブラック始め、多彩な俳優陣がこの映画を引っ張り、町の人々が協力し映画と町を盛り上げる、その一体感が大変心地よかったです。

あと、私はVHSも好きなので、昨今のDVD化の波に押され、ほぼ絶滅危惧種並みになってしまったVHSのことをこんなふうに取り扱ってくれる映画を見ることができて、それも嬉しかったです。

大変好きな作品になりました。
映画愛に溢れた作品です。


ほなね

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