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her/世界でひとつの彼女


her/世界でひとつの彼女 (her)
監督:スパイク・ジョーンズ 2013年 アメリカ


あらすじ
近未来が舞台。手紙の代筆ライターをしているセオドアは、ある日、人工知能型のOSをパソコンにインストールする。OSの名前はサマンサ(CV:スカーレット・ヨハンソン)。自分に都合のよい返事をしてくれるサマンサにどんどんのめり込んでいくセオドア。果たして彼の行く末は……。


 何やら話題作で評価も高かった作品なので見てみたのだが、自分はそんなに好きではなかった。いや、スカーレット・ヨハンソンはめちゃめちゃよかったです。ほんとに。いつもと変わらぬハスキーボイス。あんな声で囁かれたい。それは誰でも思うと思うんですが、それが、実際に現実だったらどうするかなと。
 自分だったら、サマンサは欲しいけど、それはそれって区別すると思う。セオドアみたいに、「恋人が実はOSなんだ…」とは実際自分がそう思ってても言わんやろなあ。でも恋人まではいかないにしろ、現実の世の中でも某ミクであったり自分の好きなようにできるアンドロイド的なものの人気はすごい。これは自分の都合に合わせて相手が合わしてくれて、しかも、文句も言わないってところがいいんかな。やっぱり。そういう付き合いというか、生身の人間と関わりを持たずに生きていくと、そっちのほうが楽に感じてきたりするんやろうか、と逆にそのへんには興味を持った。ただ、やはり実際には生身の人間ではないので、このOSの場合でもサービスが終了したり、機械が壊れたら、この関係は一時的にせよ終了してしまうもので、でも、それって人の場合も同じか、とも思うし、それだったら別に、機械と恋愛してもいいもいいんかな、と考えたりもするが、実際はふと我に返ったときに、自分は何してんのやろ…って思うと思う。虚無感に襲われると思う。
 しかし、ここまで考えてみて逆のことも思い浮かんだ。では、実際に生身の人間と付き合っているからといって、それで十分にその関係で満たされると感じている人はどのくらいいるのであろうか。付き合って数ヶ月とかではなく、パートナーとして長年付き合っていける人と実際に出会えている人は現実にどれくらいいるのであろうか。
 世間体や周りに言われたりして、まあそこそこの相手と妥協して一緒になって結婚して子供を持って、その子供の養育に追われて…しかしそうすることが”一般的な幸せ”と思って生活している人も少なからずいるのではないだろか。当事者たちがそれで本当にいいと思ってるなら別にいいと思うが、なあなあでしゃあなしにそういう生活を送っているとしたら、自分の好きな本当に好きなOSと暮らしているほうが幸せな場合だってあるだろう、と私は思うのである。それが他人から批判されることがあったとしても。
 マジョリティから見たマイノリティは、理解できないし、おかしい人と一見見えるかもしれないが、その人それぞれの幸せの形があっていいと思う。OSが好きならOSと付き合えばいいし、それを誰も批判することはできないと思う。しかし、OSはやはりOSであるので、そのOSが他の多数の人々と恋愛していて、そこに嫉妬したり、憤るのはナンセンスだと思った。気持ちはわかるが、それはOSに恋をしたんだからしゃあないやろと。その独占欲もエゴだと思った。人間の場合でも、誰もその人のことを独占していいわけでなくて、相手の気持ちを尊重する必要がある。そう考えると他者をコントロールすることは不可能なことであって、人工知能を持ったOSにもこれは当てはまると思う。他者をコントロールしたいと思うことは傲慢だと思う。

 話しの中で、サマンサがサマンサは肉体がないので、代理の体として、セックスの代理サービスみたいなものを頼んで、イザベラという女性を用意するのだけれど、あれはちょっとサマンサ何考えてんねんと思った。OSのサマンサと人間のセオドアが恋愛関係になるというのは、脳内での繋がりがあることで、それで肉欲を満たそうと思うと、音声でのセックスこそ最高のものであると思ったんやが、サマンサはなんであんなことしたんやろとそこが疑問だった。あれやったらリアルな体を持った人形と変わらんやんと思った。何でも試してみたかったんかな。
 あとまた邦題やけど、”世界にひとつの彼女”っている?いらん。

 いろいろ書きましたが、セオドアの服装や、住んでるマンション、街の様子など小物は素敵なものばかりでそこはよいと思った。あとあのセオドアのスマホもかっこよかった。耳につけるワイヤレスイヤホンも。ほしい。あとあとルニマラはやっぱりかわいかったです。

スパイク・ジョーンズ監督の他作品。
・マルコヴィッチの穴(1999)
・アダプテーション(2002)
・かいじゅうたちのいるところ(2009)
・アイム・ヒア(2010)



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