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グランド・ブダペスト・ホテル
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グランド・ブダペスト・ホテル(The Grand Budapest Hotel)
監督:ウェス・アンダーソン 2014年 アメリカ
あらすじ
1930年代、架空の国のズブロフカ共和国が舞台になっていて、そこの格式高いグランド・ブダペスト・ホテルのコンシェルジュのグスタヴとロビーボーイのゼロをメインに物語が展開していく。二人はホテルの常連客で大富豪のマダムDの遺産争いに巻き込まれる。時間軸が1930年代、1960年代、現代と三つの時間軸で入れ子構造になっている。
大変色合いがかわいく、カメラの取り方も特徴的で面白い作品だった。しかし、この映画を語るにあたって、この映画が製作される元となった作家、シュテファン・ツヴァイクについて書いておく必要がある。この映画の最後に“この話は、シュテファン・ツヴァイクの作品からインスパイアされました”というようなことがエンドクレジットに表示される。しかし、そのクレジットには日本語字幕が表記されていないため、何も考えずに見ていると見落としてしまうかもしれない。このシュテファン・ツヴァイクについて、映画評論家の町山さんの話を聞いていたので、ツヴァイクのことを考えながら見ることができた。*1
この物語のグスタヴはこのツヴァイクをモデルに描かれているそうだ。ツヴァイクは1930年代に大変有名な作家だったそうだ。そして、その当時の作家同士のネットワークも持っていて、世界中の作家と交友があった。それがこの話では鍵の秘密結社になったりしている。このグランド・ブダペスト・ホテル自体が、オーストリアのウィーンを表している。そんな中、第一次世界大戦で、オーストリアはドイツに併合されてしまう。そして、ユダヤ人だったツヴァイクは全ての権利を奪われてしまった。ツヴァイクの作品は禁書。そして焚書される。そしてツヴァイクは祖国に帰れなくなってしまった。ブラジルに亡命したツヴァイクはブラジルで『昨日の世界』という本を書いて、自殺したそうです。
本作の最後のグスタヴのシーンは、きっとツヴァイクと重ねて作られているし、ツヴァイクが望んだ、お菓子のような幻想の世界がこのグランド・ブダペスト・ホテルには描かれていた。深刻なシーンもコミカルに描かれているし、ひやっとするシーンもあるし、何だか笑けるミニチュアの場面もあるし、この映画は、ここのシーンがすごくいい!というより、精巧なギミックのおもちゃを見せつけられてるような感覚になった。ウェス・アンダーソン監督の映画は初めて見たが、この監督の独特の世界に巻き込まれていく感覚が面白かった。トントンと進んでいくので、初めて見たときは集中力がすぐに切れてしまい、寝てしまった。その後、ツヴァイクの話を聞き、ツヴァイクの思いというか生き方を聞いたあとは、また違う目でこの映画を見ることができた。ですので、この映画がよくわからない、集中できなかったという方は、町山さんの話を聞くことをおすすめします。*2
ウェス・アンダーソン監督の他の作品はこちら。
- アンソニーのハッピー・モーテル(1996年)
- 天才マックスの世界(1998年)
- ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年)
- ライフ・アクアティック(2004年)
- イカとクジラ(2005年)
- ダージリン急行(2007年)
- ファンタスティック Mr.FOX(2009年)
- ムーンライズ・キングダム(2012年)
*2 町山智浩が映画「グランドブダペストホテル」を解説
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