犬婿入り





多和田葉子 『犬婿入り』講談社文庫

 多和田葉子の作品を読むのは二作目。文庫には、この表題作のほかにペルソナていう作品が入っていた。ペルソナのほうから読み進めたのだが、どうも進まなかったので諦めて、犬婿入りを読んだ。感覚で読んだので、この感想も感覚で書く。
 ストーリーはというと北村みつこさんが経営するキタムラ塾なるところの噂話や実話などがいろいろ織り交ぜられて、お話なのか事実なのかもぐるぐるかき混ぜられて、すると、そこにみつこが話してくれた犬婿入りの話の話の中に出てくる犬に似ているような太郎という男がみつこの家に住み始める。男とみつこと噂話の話。
 読み終わった感覚は狐につままれた感覚。話のストーリーを追っても追っても追いつけず、見失いそうになりそうになるとまた目の前に現れるというか、で、結局は煙に巻かれた感覚だけ残る。多和田葉子というのはこういう人なんかなと思った。まだ、読み始めたばかりの作家だからなんともいえないけれど、きっとこの人は日本語の表現の限界に挑戦してるのではないだろうか。そこまでこねくりまわさなくてもいいのにと思わせる表現、私の語彙ではとうてい表現できないのやが、そんな気がしたので、これからも日本語の表現の奥や縁や外や、いろいろな側面から書かれる多和田さんの日本語の文章を読んでみたい。

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