盲獣
監督:増村保造 1969年 日本
原作:江戸川乱歩
あらすじ
"目くらの世界に残されているたった一つの楽しみ、それは触覚です。
なかでも女の身体の手触りが一番です。
温かくて、柔らかくて…"
全然あらすじじゃなかった…。
改めて内容はというと、盲目の男道夫(船越英二)は母と二人暮らし。道夫は按摩師をしている。モデルをしているアキ(緑魔子)から型をとった彫刻を道夫が美術館でベタベタと触っているところから物語は始まる。アキの体型に惚れ込んでいるのである。道夫は実際にアキを拉致し、自分の彫刻のモデルになるように強要する。道夫がアトリエと称する場所は鼻や耳や目や口が壁一面に作りつけられた倉庫。真ん中には巨大な女の裸体のオブジェのようなものが置いてある。アキは最初は逃げ回り「あなたはキチガイだわ!」とか言ってたのだが……。
最終的に二人はどんどん二人の世界に入っていってしまいます。アキの目もだんだん見えなくなり、二人で触覚の世界に入っていきます。そして究極の快楽をどんどん追求していく。
五感の一つである視覚を失うと、その分触覚で感じる部分は大きくなり、視覚があるのでは感じられないような快楽を感じられるようになるのだろうか。これは予想だが、たぶん感じられるような気がする……。だから目隠しプレイがあるのだろう…。快楽を求めると人は我を忘れてしまうのだろうか。この映画でも、もう常識とか自制などが効かなくなった二人の様子が描かれている。
このアキを演ずる緑魔子がすごくかわいくて、本当に印象的でした。二人がどんどん快楽に溺れていく様子が、陰鬱に、凄惨に、二人だけの世界で進行していく。乱歩って変態やなあ、あとこれを映画化した増村監督もすごいなあ、でもこういう話に惹かれる気持ちはすごくわかるっていう共感。普段できない独特の感覚ができる映画。
“触覚の世界、昆虫の世界、ヒトデやクラゲの下等動物の世界、
その世界の果てにあるものは、やっぱり暗い暗い死だった。”