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いのちの食べかた


いのちの食べかた (Our Daily Bread)
監督:ニコラウス・ゲイハルター 2005年 ドイツ/オーストリア

あらすじ
いつも食べている牛や豚や鳥や魚や野菜などがどう育てられどう殺されどう肉になっていくのかを淡々と描くドキュメンタリー映画。


 この映画を見て、自分は他の動物の命を食べているんだということに対して怖いと思った。殺される前に怖がって震える牛。牛は一瞬で殺され血を吸い取られ、内臓が取り出される。内臓が分けられる。当たり前のことなんだけど、いざ目にすると怖かった。でもこういう一連の流れをやってくれる人がいるお陰で肉が食べられるんだと思うと、自分は勝手だなと思った。
 しかし、それよりもこの映画を見て思ったことは、牛の雄の精子を人工的に雌の子宮に入れたり、豚の去勢?をしたり、牛のお腹から帝王切開で子牛を引きずり出したり、人間がコストを下げて生産性を上げるためにしていることなんだけど、そのやり方に人間ておぞましいなと思った。しかし、私たちは安い肉や安い食べ物を買いたがる。生産者はコストをかけずに大量生産しなくてはならない。”肉”になるまでに、手作業もあるが、ほとんどが機械でオートメーション化されたシステム。それは、自然界の動物がしているような生きるのに必要だから必要な分を食べる、殺す、命をいただくこととは程遠い飽食の時代を表している。そして、その食物が行く末はというと、全てが消費されるわけではなく、賞味期限が過ぎると捨てられる食物の山……
 なんでこんなにも消費社会になってしまったのか。近代化してしまったから仕方ないのかもしれないが、世の中に矛盾を感じずにはいられなかった。そして、人間はなんて傲慢でおぞましくて、愚かな生き物なんだということも再確認した。自分も含めて。
 途中、工場で働く人々の食事シーンが間あいだに挿入されるのだけれど、これも結構印象的だった。食べられるために生まれてくる動物、それを食べる動物、現代の食物連鎖の様子を映像を通して突きつけられている気がした。それにしても、人間は食べ物を無駄にしすぎだと思う。

ニコラウス・ゲイハルター監督の他作品。他作品もドキュメンタリーなので是非見てみたい。
・『プリピャチ』1999年
7915km』2008年
・『眠れぬ夜の仕事図鑑』2011年



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