『ある結婚の風景』(Scenes from a Marriage)
監督:イングマール・ベルイマン 1974年 スウェーデン
弁護士である妻マリアンヌと、大学教授の夫ヨハン。結婚10年目の満ち足りた生活を送っていた彼らに、あるとき模範的な結婚生活についての取材が行われる。数日後、活字になった記事を読んだ2人は、そのあまりのつまらなさに愕然となる。やがて夫婦の間に、次第に亀裂が生じていく。本作は、もともとは5時間に及ぶTVシリーズだったが、好評につき再編集され劇場公開された。
夫婦生活のドキュメンタリーみたいな作品。何の問題もないような夫婦が実は今までお互いがお互いに言えないもやもやを抱えていた。結婚したらこういう問題には直面するものなのかそれはどうかはわかりませんが誰かと一緒に共同生活を続けていくのはものすごく大変なことというのがこの映画を通して伝わってくる。
お互いが相手に対して持っていた不満をぶつけ合う。それを聞いてお互い愕然とする。今までこんなに解り合えてると思っていたのに…。ビデオテープ2本にわたって延々とこの夫婦の会話のやりとりです。会話だけなのに最初の取材を受ける二人の空気、思いをぶつけ合う二人の空気、離れて再び会った時の二人の空気、それぞれ全然違うものであり、それが実にリアルにじわじわ伝わってくる。
この夫婦は結婚して10年目にして初めてお互いの心の内を相手に打ち明けることができたのか。自分たちが思考停止していて、これでよいと思っていたことが、ふとしたきっかけから、もう一度考え直すに至る経緯、私は本当にこの人物を愛しているのかという疑問。愛がなくなった夫婦はどうすべきか。