匿名の彼女たち




 前にふと本屋で見つけて、こ、これは…!と思い読もうと思ったら、1巻がなく2巻のみ販売中だったので、買うのを諦めて帰って来たのだが、先日その本屋に行くと何と1巻が面出しされているではないか!ということで、1、2巻買ってきて読んだ。
 なんていうか、エロではない。この本は風俗街(店)分析漫画である。だから、エロを求めている人には本当に物足りないと思う。私は近くで風俗街を目にするところで育ったので、どうあってもあの街の中が気になっていた。あのネオンの奥にはどんな世界が広がっているのか、無料案内所とはどんなところなのか、特殊浴場とは…?!のようにである。まあ、だいたいは察しがつくが、前を通る度に、あの奥ではどのようなことが繰り広げられているのか、と妄想を膨らましていたのである。自分で行って確かめろよ、と思われるかもしれないが、そこまでの勇気もないので、この漫画を見つけたときは、かゆいところに手が届いた感覚であった。そして、いつか私の知っているあの街のことを書いてほしい、そんな夢まで持つようになった。
 内容はというと、会社員の主人公が日本各地に出張に行ってはその街の風俗店に立ち寄っては、嬢とのいっときの楽しみ、時間を共有することで生まれる情であったり、その女性の影の部分であったりと、楽しい部分よりも寂しい、切ない部分にスポットが当てられている気がする。主人公の男もなぜそこまで風俗ばかりに行くのか過去に何かあったのかなど今後の展開が気になるところ。
 絵の感じはそんなに好き好きではなかったが、慣れてくるとこれも昔風のタッチで味わいがあるなと思えてきた。とにかく、いろいろな街の情報が知れるので面白い。一見エロに特化してるように見えるが、冷静に書かれた体験談のような漫画なので、こちらも冷静に読み進めることができてそこが面白い。今後の展開にも期待している。



匿名の彼女たち1、2巻
五十嵐健三
 

Popular Posts