『木村浩介 ブラジルの休日』『ばら ばら の ゆめ / os sonhos das duas rosas』


学芸大学での上映会の第一回目に二本立てで見てきました。
今は亡きブラジル愛のミュージシャン、木村浩介さんを追った二作。

※内容に触れていますので、何も知らずに見たい方はご注意ください。






『木村浩介 ブラジルの休日』
監督:岡村淳 2016 ブラジル

ブラジルの緑豊かな場所で木村さんがギターを弾いている。
大変穏やかな顔で、鳥の声も聞こえる。
カフェのテラスのような場所で弾いていると、ウェイターの男性が携帯のカメラを向けて、演奏に聴き入っている。
岡村監督は、この短い映像を、ブラジルが大好きな木村さんをブラジルにお連れしたときに、ビデオを回していた時のものとおっしゃっていた。
一見、さわやかなブラジルでの風景のように見えるが、木村さんがもうお亡くなりになり、この世にいないことを思うと、命の儚さを嘆くとともに、自然の中の生命とともに奏でる木村さんとそのギターの軽快な音色に惹かれました。

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『ばら ばら の ゆめ / os sonhos das duas rosas』
監督:岡村淳 2013 日本

木村さんが施設で出会ったある歌が好きな好きな日系ブラジル人の姉妹(当時14歳と11歳)との関わりが描かれている。
木村さんは本業の傍ら、幼稚園頃の子供から中学生までの子供を預かるブラジル人学校で音楽の授業をボランティアでやっている。

歌が好きな姉妹の歌声はとても綺麗で、無垢で澄んでいるように聞こえた。木村さんがこの姉妹たちの歌声に惚れて、レッスンを始めるようになったと映画では、言っていたが、その惚れ込みはどのくらいのものだったのだろうか。
岡村監督が、木村さんに「姉妹に対して下心はないんですか?」というような質問を投げかけた時の、木村さんの驚いた顔が印象的だった。もちろん、否定はされていたが、ある種愛がないと、指導もできないし、一緒に音楽を作り上げようという気にもならないと思うので、本当に木村さんは姉妹のことが好きだったんだなと思った。

二人の姉妹は岡村監督のインタビューに対して、飄々と受け応えしているように見えた。
岡村監督が二人に将来の夢を聞いていたが、果たして、自分が姉妹の立場だったら答えられるのか。日本で暮らしていても自分の将来を描くことができなかった私が、もし日系ブラジル人で親がいつブラジルに帰ると言い出すのかわからない状態だったとしたら、自分は混乱すると思う。もしくは、ハナから自分の将来のことを諦めると思う。何を考えても、自分の力ではどうにもできない、親についていくしかない年齢のときは、自分の将来に対して、すごく不安だろう。

この映画の中でも、姉妹の家族がブラジルに引き揚げるかもしれないという話があがる。もっと一緒にやりたかったと嘆く木村さん。そこまで落ち込むか...というぐらい落ち込んでいる姿が印象に残った。確かに自分の思い入れの強い、これからも一緒にやっていきたかった好きな人たちがすぐには会えない状況になると考えると、身も引き裂かれる思いになるのは、わかる。

本題である、姉妹の初のステージは無事終了する。
木村さんの一所懸命に楽しむ姿と、それと同時に、今後は離れてしまう寂しさみたいなものが入り混じっているように見えた。
二人の姉妹の行く末を木村さんはこれからも見守ってくれているのではと思う。

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