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エヴォリューション


エヴォリューション (Evolution)
監督:ルシール・アザリロヴィック 2015 スペイン/フランス/ベルギー

予告編を見て、完全に自分の好みや!と思った作品。
少年と女性しかいない島、禁断の医療行為、美しい海の映像、怪しい手術台etc...
本編を見てもその好奇心は収まらず、81分とほどよい時間の中で、たっぷり楽しさを堪能した。

概要
少年と女性しかいないとある島に暮らす主人公の少年ニコラ。彼は何かの病気で、毎日青い色をした液体を飲まされている。食べ物は、ミミズみたいなよくわからないゲロのようなもの。
母と思われる人物は夜な夜なカンテラを手に、海岸へ出かけていく。
その後を追ってニコラが見てしまったものとは...。
そして、ニコラの体にも異変が生じ始める。

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本編について考察します。
※ネタバレしまくると思うので、見たくない方は、鑑賞後にお願いします。

内容については、謎な部分が多く、自分でいろいろ考えてみました。
見終わった直後に、脳内にドバドバこれはこうだったんじゃないか、ああだったんじゃないか、みたいな思いが溢れてきたので、ノートに書きなぐった。
それを今回は、まとめてみたい。

1. タイトルの『エヴォリューション』について

「進化」を表すこの単語から、この島に住む女性たちは進化した人々なのだと思った。
(背中に吸盤のようなものあり。水中での呼吸が可能なことなど)

では、少年たちはどうなのか、と考えたときに、少年たちも手術のときに麻酔をしていないことから、かなり痛みに強いことがわかる。
そこから、少年たちは、子供を産むためだけに進化した生物なのでは、という憶測をした。

2. 少年たちの鼻血 = 初潮

これ気づいたとき、ゾッとしたんやけど、鼻血が出た子から病院へ収監され、人体実験のような体をなしていく。
鼻血が出た子は妊娠できる準備ができたということなのだと思った。

3. ニコラが何回も自室の窓から脱走するが、母らしき人は何も言わない+脱走を防ごうとしない理由

この島で生きる少年たちは、子供を産むためだけに生きており、大人になる前に死んでしまう(=島に大人の男性がいないことから推測)ので、叱っても、いずれ死ぬので、叱る意味がないと考えているのではないか。
どうせ子を産んで役目を果たしたら、死ぬ運命にあるので、好きにさせている。

私の中では、あの少年たちは、出産したら死ぬのかなと思った。
出産後、血を吐いて苦しそうにしているが、放置されている子を見てそう思った。

4. ステラというニコラと仲のよい、看護師がニコラを逃した理由

① ニコラが死んでゆく姿を見たくなかったから。
② ニコラが死なないとしたら、逃がされた先の大陸(?)の工場地帯で生きていくのかは、わからないが、本当にニコラのことを逃したいという思いから。

5. 作品全体から受け取ったメッセージ

① 少年がいた島(進化した女性が男性なしに少年に子供を産ませる島 女性中心の男性を必要としない世界)
② 少年が逃がされた大陸(工場地帯=産業革命→発展→進化 男性中心の女性の生きづらさの残った世界)

①②ともに人間が進化した世界である。
①には、豊かな自然が溢れている。
②は大気汚染され、自然はほぼない。

②は現代の世界を表してるのだと思ったんやけど、私たちが「発展」と思っていることって、本当に「進化」だったの?と作者に問いかけられている気がした。
高度経済成長によって引き起こされた、公害や、戦争、原発の問題など、現代の社会への批判も表しているのかなと思った。

結論


「謎」について

最後まで私がわからなかった謎は、ニコラはどこから来たのか?ということだった。
あの島にないものの絵を描くニコラは、大陸からきたのか。
子を産むために拉致されたのか。
記憶すら、操作されているのか。
そこが、謎だった。

上記の通り、結構もやもや考えたんやけど、多くを語らない静かな映像なので、想像がどんどん膨らんだ。
自分的に印象に残っているシーンは、他にもたくさんあって、女性たちが浜辺で多人数セックスのような儀式(?)をしているところや、映像の色使いなど。写真で見るような映像だった。映画『ブエノスアイレス』を思い出すような綺麗な色だった。海の映像は本当に美しかった。

あと、印象に残っているのは、この映画の絵として描いているあのシーン。
見た人にしかわからないと思うが、ギャー!となった。あの演出よかった。
『ザ・セル』好きは好きだと思う。

ジャンルでいうと変態だなと思ったのですが、そういうの好きな人には大変おすすめです。
私も案の定好きでした。
ではでは以上です。

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