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消えた炭鉱離職者を追って サンパウロ編
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消えた炭鉱離職者を追って サンパウロ編
監督:岡村淳 2013年 ブラジル
概要
1960年代、高度経済成長時、エネルギーはこれまでの石炭から石油に変換された。それに伴って国内各地の炭鉱は閉山され、炭坑夫たちは、職を失った。その炭鉱で働く坑夫たちとともに、一緒に鉱山に入り、坑夫たちの声を記録し続けた人物、それが上野英信だった。上野英信は、その後、職を失いブラジルへ移民として渡った坑夫たちを追い、自らも日本を出る。その足跡を数十年の時を経て、上野英信を師と仰ぐ犬養光博牧師が追った。その記録を岡村監督が映像にしたものが本作である。
印象に残ったこと
上野英信という人物について、もっともっと知りたいと思った。
犬養牧師がお話しの中で紹介されていた『追われゆく坑夫たち』、『闇の中の笑い話』がどうしても読みたくなり購入。それから、これは、絶対に読まないとと思い探していた『出ニッポン記』も手に入れた。
これから読んでいきたい。
この映画に登場する坑夫たちや、岡村監督が追う日本人移民の当事者は、声を残すことができないことが多いのではないか、と思った。だから、上野英信や、岡村監督のように、記録する第三者が必要。もちろん、自分で自らのことを語ることのできる人もいると思うが、そういった人でさえ、その事象の渦中においては、とても語れる心境ではないと思う。
だから、それをできる誰かが記録することが重要である。
上野英信の本は読んでいないので、詳しいことはまだ何も言えないが、岡村監督と上野英信が共通していると思うところは、その記録する人々の近くで行動を共にしているというところ。
その場だけで、人はすぐにその人を信用しない。こういった記録が残せるのも、当事者たちと信頼関係があるからこそできることだと思った。
他にも、自らが坑夫として炭鉱に入ったように、岡村監督も自らが日本人移民となり、ブラジルへ渡られた。そこに、覚悟と情熱を感じざるを得なかった。
まだまだ私の知っていることは、本当に少ない。
もっともっと私のパートナーの一族が過ごしてきた歴史が知りたい。
こういった映像や話を聞くと、私は、日本の近代化ってなんやったんやろう...と常々考えてしまう。
私がこうやって今何の不自由もなく生活できているのも、日本が豊かになったお陰である。
でも、その発展の光の影には必ず、闇の部分がある。水俣病やフクシマの原発の問題、一部の人々を犠牲にして成り立つ発展をこれでよかったとは言い切れない。
そこに関わった人々それぞれの人生があるが、そこで上野英信は坑夫たちに寄り添い、岡村監督は日本人移民に寄り添ったんだなと思った。
私が岡村監督の映画に興味を持ったのも、もとは、パートナーが日系ブラジル人だったからである。
そうでなかったら、日系ブラジル人の方のことを一生名前しか知らずに生きていったかもしれない。私はパートナーのお陰でいろいろな人や作品と出会う機会が増えた。そしてそういう作品や人と出会う度に、自分には知らないことが世の中にはたくさんあり、もっともっと知りたいと思うのである。
自分が生きて行く中で出会った人々の歴史、そして、それを自分の歴史の中にも取り入れ、いろんなものを見て生きていきたい。
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