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母なる証明




母なる証明(마더
監督:ポン・ジュノ  2009年  韓国

母(キム・ヘジャ)と息子(ウォンビン)の話。
息子のトジュンは知的障害があり、母から溺愛されている。トジュンは大人であるが、母と一緒に横に並んで眠ったり、母の庇護下で生活している。
ある日、トジュンが女子高生殺害の容疑者として警察に連れて行かれる。トジュンは記憶障害もあり、その事件のあった夜のことをあまり覚えてないが、女子高生を殺したことは否定している。
母はトジュンの冤罪を晴らすために、1人事件解決のために犯人探しを始める。

最近、母と子の話の映画をよく見るんやけど、この映画も壮絶だった。
母はトジュンのことが何歳になってもかわいくて仕方がなくて、トジュンもそんな母のことを鬱陶しいなと思いつつも、いざというときは母のことを頼りにしていて共依存関係にある。二人は二人だけの世界の中で暮らしているように見えた。
母は、普段は漢方薬を売って生活しているが、闇で鍼灸の仕事もしており、近所の人にやったりしている。母曰く、嫌なことを忘れるツボが太ももの辺りにあり、そこを針で刺すと嫌なことも全て忘れて幸せになれるという。トジュンは事件のことを思い出そうと奮起するがなかなか思い出せない。記憶を思い出すために、いつもやっている頭のツボを押す動作をし、思い出したものは、過去の母との忌まわしい出来事だった。トジュンはその事実を母に突きつける。その時母はかつてないほどに狼狽する。そして、あの記憶を忘れるために、記憶を消すツボに針を刺さないと!とトジュンに対して叫ぶ。
母はトジュンを育てるために必死で生きてきた。母はトジュンに知的障害があるが故に、トジュンのことを人一倍心配し、またその障害があるが故の無垢さなどが母には大変愛おしく映っているように見えた。

母の狂気すら感じさせる息子への溺愛っぷりも怖いが、私は、トジュンのことも怖かった。トジュンは知的障害があるが、果たしてそれがどれほどのものなのか、どこまでわかっていないのか、それが見ていてわからないところがすごく怖かった。もし、トジュンは、母に対する復讐(自分が重すぎる愛を注がれていることへの報復)のために、わざと、最後のあの行動(母の針を入れている箱を母に渡す)をしたのだとしたら、ゾッとするなと思った。二人でこれからも生きていかなければならないことを暗示しているような、この母と子のきつすぎる絆を暗示しているような気がして怖かった。
母が意を決したように最後、バスの中でやった行為も狂気だった。それを遠くからカメラで撮っている撮り方も狂気だった。そもそも冒頭の母の踊りもそれを彷彿とさせる狂気さだった。

事件の犯人探しのために母が単身探偵ばりの調査をし、トジュンの友人も巻き込んでの調査はハラハラしながら、ぐいぐい引きつけられるし、最後に犯人がわかった後も、その後が怖かった。犯人が見つかって解決じゃなくて、泥沼にはまっていく感じが恐ろしい。とにかく息子を守りたい、その一心が母をここまでさせるのだろうけど、この心理は子どもを持ったら誰しもが思うものなのだろうか。この話は行き過ぎにしても、愛する人が冤罪になったら、その冤罪を晴らそうとする思いには共感する。


それにしても、母と子という繋がりは重すぎるくらいに重いなあと母と子の映画を見るたびに感じます。実際そこに父親は不在で、そういうことから、やはり、母と子の関係は父と子の関係よりも、ねっちょりとしていて、母の一部から切り離された子は母との強い関係を求められるんだろうなと思った。


以前に私が見た壮絶な母と子の物語は以下です。



ほなね

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