寒灯・腐泥の果実



 久々に西村賢太を読んだ。
 最初に言っておくが、私は西村賢太の作品が好きだ。文体が好きだ。西村賢太と車谷長吉の本を読むと、なぜか安心する。そういう作家なのである。西村賢太、車谷長吉に共通するのだが、この二人の作品はたくさん出版されているが、そのそれぞれの作品は他の作品と多少の差はあれどほとんど変わらない。この二人の作品は違うタイトルの作品を読んでも内容は違うが、根底にある芯のようなものは同じで、それが一貫しているのである。それは、やはりこの二人の小説が私小説であり、西村賢太、車谷長吉の生き様そのものだからであろう。
 今回の作品も貫太と秋恵の同棲生活の間に起こったエピソードが書かれている。四つの話が入っているのだが、どれも灰汁が強く、これぞ西賢節、と唸らずにはいられない。癖になるように読んでしまう作品である。


西村賢太『寒灯・腐泥の果実』新潮文庫
平成二十五年十二月一日発行

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